「うさぎ」か「ウサギ」か

ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち〈下〉 ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち〈上〉
 ところで、この映画の原作「ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち」(原作と映画で微妙に表記が違うのにご注意)だが、2006年6月19日の日記に書いたとおり、改訳新版が出る。発売は9月に延期してしまったようだが、評論社のホームページにも発売の告知が出てきた。
 それを見て気になったのだが、予告されているタイトルが「ウォーターシップ・ダウンのウサギたち」になっている。「ウサギ」と、カタカナになっているのだ。
 「ウサギ」?
 「ウサギ」……。
 細かいことなのは分かっているのだが、どうもカタカナの「ウサギ」だと、ちょっと図鑑的というか、生物分類学的というか、なんか自然科学的なニオイを感じてしまうのだ。
 もちろん、この小説の執筆に当たっては、ウサギの生態をはじめ膨大な自然科学の知識が必要だっただろうが、書かれた物語自体はもっと文系的で“叙事詩”と呼ぶのに相応しい。私にとっては「うさぎ」と平仮名表記のタイトルのほうがしっくりくるのだ。もちろん、単純に平仮名表記の題名に長く慣れ親しんだ故の違和感、というのも多分にある。気になる装丁も含めて、どんな新版になるのか、発売を待つとしよう。