甦るウサギたち

ウォーターシップ・ダウンのウサギたち〈下〉 (ファンタジー・クラシックス) ウォーターシップ・ダウンのウサギたち〈上〉 (ファンタジー・クラシックス)
 待ちに待った改訳新版「ウォーターシップ・ダウンのウサギたち」が、いよいよ発売された。さっそく書店で購入。画像で見たときは「ちょっとどうなの?」と思った装丁だが、実物を手にしてみると、意外といい感じ。柔らかくすべすべしたカヴァーの手触りが何とも心地よい。ソフトカヴァーの表紙といい、新潮社のクレスト・ブックス(このシリーズの装丁も大好き)が思い起こされる装丁だ。というより、あのシリーズを意識したのかな。旧ハードカヴァー版の、なんか米国ヤングアダルト小説みたいなデザインがあまり好きではなかったので、今度の落ち着いた装丁は、私としては気に入った。ただし、本文のノンブル(ページ番号)の数字書体だけは、原作のイメージに合わないような気がして、イマイチ好きになれない。
 2006年8月2日の日記に書いたように、今までの訳本に親しんだ身としては、今度の改訳でどれほど違和感を感じるのか、けっこう気になっていた。邦題が一部(「うさぎ」→「ウサギ」)変わったしねえ。というわけでパラパラめくってみると、旧訳では「ウーンドウォート」という名前だったのが今回は「ウンドワート」になっているのをいきなり見つけて、かなり面食らったが、他の固有名詞は前と同じにしているようだ。文章的にも、気になるような改変は(とりあえずは)見あたらなかった。まあ、原作は同じ"Watership Down"だし、訳者も同じ神宮輝夫さんだし、冷静に考えればそうそう大きく変わるはずもないのだが、わざわざ「改訳」と銘打っているほどだからねえ……。
 まあ、ともあれ手に入れたわけだから、これを機会に全編を読み返してみるとしよう。なにしろ、小学生の頃に読んで以来、今の私を形作る一部になったと言っても過言ではないくらい、私には"基本"の一冊(いや、正確には上下巻2冊か)なのだから。未読の方には強く、強くオススメします。ぜひご一読あれ!