初めて満足

Harry Potter & The Half Blood Prince (Score)
 相変わらず一日曇りで蒸し暑い。時折陽射しが入るのが、余計に蒸し暑さを増加させていて非常に不快。
 妻と銀座へ行き、有楽町マリオン丸の内ピカデリーで「ハリー・ポッターと謎のプリンス」"Harry Potter and the Half-Blood Prince"を観る。シリーズ第6作。
 あくまで原作既読者として(私も妻も最終巻まで読了済み)なのでどうしても原作との比較で観てしまうのだが、そういう一個人の感想としては、今までで一番よく出来た映画だった。シリーズ第6作にして、初めて観応えを感じ「満足」したな。
 シリーズのこれまでの映画作品は、1作目は原作に忠実すぎたあまり、却って原作の持っていたエッセンス(特にミステリーの要素)を損ねてしまって全然面白くなかった。そして最近の4作目・5作目は映像的な見せ場は多かったものの、いかんせん原作が長すぎて端折りが過多すぎ、どうにも物足りなさが先に立ってしまっていた。
 それに比べると今回の第6作は、前巻より短かった原作を、前作より長い上映時間の中でかなり丁寧に再現し、第6巻の持つかなりダークなエッセンスをうまく表現していた。もちろん原作からの改変や省略はあり、特に最後のほうの省略&改変はやや「うん?」と疑問だったが、それ以外はまあ全体の流れの中で許容範囲内だったな。この第6巻が最も映像化するのに難しい(ダークで抽象的だし派手なシーンが少ない)と思っていたので、この仕上がりはけっこう満足。敢えて色調を抑えた、スタイリッシュな映像を多用していたのも、映画ならではの手法で原作のニュアンスをうまく伝えて効果が高く、実に美しい。ダニエル・ラドクリフら主人公たちももう大人だし、さすがに演技力が上がってきているし。音楽も素晴らしかった。
 それにしても「ハリー・ポッター」シリーズの映画を観て、全編に溢れるブリティッシュ・イングリッシュを聞いていると、毎回毎回本当にまた英国に行きたくなってしまう。映画版を観てひとつだけ強く思うのは(特に最近の2作)、原作よりも魔法世界と現実の英国との繋がりをとても感じること。映像でじかに見る分、その印象が強いのかな。冒頭のロンドン地下鉄でのシーンとか(原作にはないが)けっこう印象的だったな。あー英国行きたい。