あのクマは。

 我が家のブルーレイで、映画『テッド』"Ted"を観る。もう10回以上は観ただろうか、この映画。本当に、何度観ても面白い。カワイイ(でもくたびれた)外見だけれど中身は中年オヤジのテッドが巻き起こす、かなり(非常に)アブナイギャグ満載のハチャメチャぶりが、本当に笑える。(以下、ネタバレです)

   改めて観ると、マーク・ウォールバーグ演ずるジョン・ベネットのダメっぷりというか意志の弱さというか、「のび太」っぷりが目立つ(笑)。

(最初に観てからずっと思っているのですが、この映画のエッセンスは要するに「ドラえもん」なのですよ。のび太の成長物語。)

 でも、その意志の弱さはテッドとの友情の面において特に発揮(?)されていて、物語のカナメが「テッドを取るか恋人を取るか」の選択をジョンに迫っている形になっているのが興味深い。そのカワイイ外見やはちゃめちゃな言動というオブラートに包まれてはいるが、テッドの存在は要するに、「人を堕落させようとする誘惑の象徴」=人を「のび太化」させる存在としても描かれている訳だな、と。ジョンと子供の頃からの固い友情で結ばれている一方で、彼を「堕落」させる存在でもあるという、実にアンビヴァレントな存在。でも、人間って、大抵皆そんな両義性を備えているわけなのだけれど。テッドはそんな、誰もが持つ両義性をカリカチュアライズした存在だと言える。

 ところで、この映画のひとつの「カギ」として、サム・ジョーンズSam Jonesと映画『フラッシュ・ゴードン』"Flash Gordon"が登場する。『フラッシュ・ゴードン』といえば、音楽はもちろんクイーンQUEEN。お馴染みの主題歌"Flash's Theme"は勿論のこと、地味な劇伴曲も全てクイーンが手がけている。ブライアン・メイのギター演奏によるウェディングマーチなども聴ける。B級SF扱いされる『フラッシュ・ゴードン』だが(実際B級なのだけれども)、音楽的にはクオリティが非常に高い映画だったのだ。主題歌"Flash's Theme"は残念ながら、かの映画『ボヘミアン・ラプソディー』には出てこなかったけれども、『テッド』ではかなりたっぷり聴くことができる。この曲もクイーンのベストには必ず収録される代表曲のひとつだしね。

Flash Gordon: 2011 Remaster

Flash Gordon: 2011 Remaster

 

 ちなみに、この『テッド』と対になる映画は『宇宙人ポール』"Paul"であって『テッド2』ではありません。 『テッド』は明らかにこの一作で完結しており、『テッド2』は単なる蛇足。個人的には無かったことになっている。それより『宇宙人ポール』のほうが、明らかに『テッド』と共通する要素が多く、公開時期もほぼ同じ。『テッド』と一緒に観るなら絶対こっちがオススメだ。

宇宙人ポール [Blu-ray]

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(2019年1月31日投稿)