【映画記録】ストーム・チェイサーたちの物語

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(写真は2020年9月4日に、井の頭公園にて撮影)

 このところ大気が非常に不安定な日が多く、よく晴れていたのにたちまち入道雲が押し寄せて、激しい雷鳴が轟きにわか雨が降りしきってまた晴れる、なんてことが毎日のように起こっている。実際、ここ数日は何かと空を見上げて、たとえ上空がすっきりと青い空でも、地平線に怪しい入道雲が湧き上がっていないかチェックすることが多い。

 そんな感じで日々空模様を気にしているうちに、久しぶりに大好きな映画『ツイスター』"Twister"(1996年)が観たくなってしまい、我が家のブルーレイで全編を鑑賞した。何しろ合衆国中部オクラホマの大農業地帯を背景に、竜巻の発生や仕組みを解明するため日々ツイスター(竜巻)を追いかける「ストーム・チェイサー」たちの物語なので、映画の中の登場人物たちも皆、空を見上げっぱなしなのだ(笑)。

ツイスター [Blu-ray]

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  • 発売日: 2012/04/13
  • メディア: Blu-ray
 

 もう何十回観ただろうか、数えきれない。これまでも何度もこの日記で書いたように(2005年9月5日の日記2006年8月27日の日記他参照)、『ツイスター』は私たち夫婦が24年前、まだ結婚する前に映画館で一緒に観て以来ずっと大好きな、何度観ても面白い映画のひとつだ。 その魅力のほどは2005年9月5日の日記に書いた通りだ(今気づいたが、この日付は今日からちょうど15年前だ! なんという偶然の一致か)が、今でも鑑賞して同じ感想が得られるのは嬉しいことだ。

 その15年前の日記のときから変わったのは、今持っている『ツイスター』の映像ソフトがブルーレイであること。当時はDVDで持っていたのだが、やはり大好きな映画かつ映像の比重が高い映画なので画質がショボいのには我慢できず、数年前に1,500円の廉価盤ではあるがブルーレイに買い換えたのだ。

 もうひとつは、これも数年前だが、この映画のスコア・サントラの完全盤を手に入れられたこと。
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 それまで持っていたスコア・サントラのCDは、それはそれでものすごくよく聴いていた。何しろマーク・マンチーナMark Mancinaのスコアは、テーマ曲などのメロディをガンガン鳴らして映画の各場面の高揚感や悲壮感、様々な感情の流れにぴったりと寄り添ってくるし、単独の音楽としてもとても聴きごたえがある。中でもコーラスによって竜巻の聖性を、エレクトリック・ギターのディストーションを使って竜巻の暴力性・破壊力を表現して、竜巻の持つ二面性を見事に描き出したのが秀逸だ。

 だが、この最初のサントラ盤は、収録曲の並びが映画で使われた順番でない上に未収録曲が多数あったので、今ひとつ気に入っていなかった。ようやく2017年に"Expanded Archival Collection"と題して枚数限定で完全版のスコア・サントラが発売されたので、すかさず(でもないか。出たことにしばらく気づかなかったから)購入して、今はこっちをメインに聴いている。

 こちらの完全盤はもちろん映画で使用された順に曲が収録されているし、未収録だった曲もばっちり入っている。最初のスコア・サントラでは映画使用のヴァージョンより短縮されて入っていた何曲かが、ちゃんと映画で使われた通りの尺で収録されているのも嬉しい。枚数限定だったので、アマゾンでもタワレコでも今では手に入らない模様。これは手に入れて本当によかった、と心の底から思うアイテムだ。

 個人的には、映画の中盤の、ヴァン・ヘイレンVan Halenの主題歌"Humans Being"が流れる場面の直前で、その曲のイントロのギターリフをオーケストラで演奏して主題歌に繋ぐ、すごくカッコいいスコア(最初のサントラでは未収録だった)がきちんと入っているのが気に入っている。

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 ↑この場面! オケのスコアからヴァン・ヘイレンの演奏に雪崩れ込むのがすごくカッコよくて、何度観ても大好きな場面だ。クルマ嫌いの私だけれど、この映画だけはホントに例外。

 いかんいかん、これ観ていると、また映画そのものを観たくなってきた(笑)。

 

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 ↑こちらは、PVヴァージョンの動画。こちらもすごくカッコいい。90年代ヴァン・ヘイレンで最高の曲でしょう。映画と違って、曲の最後まで聴けます。

 

 ヘレン・ハントHelen Huntとともに映画の中心人物を演じたビル・パクストンBill Paxtonは、2017年に61歳で急逝したとのこと。とても残念だ。彼の訃報を受けて、全米の多くのストーム・チェイサーたちがThe Spotter Networkに彼のイニシャルを送信して哀悼の意を表明したという。それほどまでに、『ツイスター』は、決して広くは知られていなかった気象科学者やストーム・チェイサーたちの活躍ぶりを世の中に伝えて、社会に大きな役割を果たした映画でもあったのだな、と気づく。

Bill Paxton - Wikipedia

 そういえば、のちのアカデミー賞俳優の故フィリップ・シーモア・ホフマンPhilip Seymour Hoffmanも、この作品ではまだまだ無名だったっけ。脇役ではあるが、かなりアクが強く特徴的な(いかにも彼らしい?)役柄を演じて、強く印象に残る。40代で亡くなったのが、本当に惜しい限りだ。

(2020年9月6日投稿)