味が薄めなのは「当たり前」

 

 美味しいごはんの話が続きます。

 前回の日記で書いた「豚肉と里芋の梅高菜煮」からちょうど1週間後の、夕食の主菜に私の妻が作った料理が、豚肉とキャベツの味噌にんにく煮込み(上の写真)。前回同様、こちらも若山曜子さんの『フライパン煮込み』に掲載のレシピから登場。

 

 

 この本でのレシピ名は「豚バラとキャベツのみそにんにく煮込み」で、その名の通りバラ肉が使われている。だが私は脂身の多い肉が(お腹にくるから)苦手なので、妻は大抵ももやロースの端肉などを寄せ集めて売っている(だから安い)豚こま肉を使って調理してくれる。

 さらに、調味料もかなり量と種類を減らしている。元のレシピでは醤油が大さじ1入るのだが、味が濃くなりすぎるのでウチでは入れません。我が家は相当薄味志向、というよりほとんどの場合、調味料の量や種類をレシピ記載より減らすぐらいの味加減が、私たちにとってちょうど良いのです。

 これを読んでいるアナタが、万一にも「薄味=まずい」と思い込んでいる人だとしたら、私は面と向かって「この何も分かっていない愚か者め」と罵ってあげます(笑)。何百回でも。

 豆板醤のピリ辛味で補強されたニラとにんにくの組み合わせがなんといってもこの料理の「キモ」だが、若山さん曰く「ピリッとパンチの効いた、もつ煮込み風」とのこと。なるほど、味噌にニラとにんにくの組み合わせは、いかにも「もつ鍋っぽい」感じだ。

 

 

 若山曜子さんのすごいなあと思うところは、料理の守備範囲がとても幅広いこと。大学卒業後にパリへ留学して、パティシエやショコラティエなどのフランス国家資格(CAP)を取得した経歴から窺えるように、フランスのお菓子やフランス料理を最も得意とされているようだ。実際、お菓子づくりや家庭向けフランス料理の著書も多い。

 その一方で、この『フライパン煮込み』のレシピのような、普段の日本人の食卓に寄り添った料理づくりの提案もなさっている。ご自身が吸収した「洋」の良さと、日本の食文化で育まれた「和」の親しみやすさをうまく組み合わせて、いい感じに等身大な食生活を提供している、そんな印象なのだ。

 今調べたら、『フライパン煮込み』の続編が来月発売されるらしい。へええ、知らなかった。楽しみ。

 

(2022年10月29日投稿)