フライパン煮込み、再び

 

 2022年10月26日の日記で少し言及した、若山曜子さんの好著『フライパン煮込み』の続編『フライパン煮込み2』(主婦と生活社)。

 我が家では発売後さっそく手に入れたが、ひと通りざっと眺めた私の妻が言うには、前著より一捻りした料理が多い印象とのこと。まあ二冊目ということで、最初のものよりはやや「変化球」が増えるのはよくあることである。

 

 

 それでも前著同様すぐに使えるレシピが多いようだ(ひとつだけ、我が家では地球が滅亡に瀕しても絶対に作らないレシピがあったが)。この日の夕食には、早くも同書からのレシピで妻が作った料理が食卓に上がった。本の一番最初に「基本の煮込みを作りましょう」と紹介されている、鶏肉の柚子胡椒クリーム煮だ(上の写真)。

 レシピでは鶏もも肉を使用しているが、この日の我が家は鶏むね肉を採用。脂が少ないので私好みなのだ。レシピ通りに予めすりこぎで鶏肉を叩いたので、煮込み後も柔らかく仕上がってとても美味しい。例によって妻は元レシピからかなりアレンジ。レシピにないキャベツとしめじを加えて、野菜のボリュームを大幅にアップ。代わりに塩の量を減らして我が家向きの味付けに。まあ若山曜子さんご自身も本書の中で変更や追加を奨励しているくらいなので、どんどんアレンジすべし。さすがに若山さんはよく分かっていらっしゃる。レシピというのはある種の「基準」であることを。

 何しろ生クリームと柚子胡椒の組み合わせが実にユニークで、これが意外にも(?)なかなか美味しい。本書のレシピの説明では、こっくりと重くなりがちなクリーム煮を柚子胡椒で軽くしたと書かれている。だが私にはむしろ、柚子胡椒のピリッとした辛さをクリームのコクが角を取って丸くしてくれたように感じた。また、クリーム煮の洋風料理感の中に柚子胡椒の和風なテイストを差し込んだようにも。これこそ、真のフュージョン料理。現地での修行を経て基本から身につけたフランスの食の感覚と、日本の日々の暮らしの中で培われた食の良さをうまく組み合わせる、若山さんならではの一品だ。

 翌日の夕食にも、この本からのレシピをもとに、豚もも肉と大根の胡麻味噌煮が登場(下の写真、元レシピでは豚バラ肉を使用)。どんどん作ってみないとね。

 胡麻味噌の風味も芳しくて実に美味しいが、それだけでなく大根に千切り生姜そして長葱が入っているので、食べると身体が芯からよく温まる。これからの寒い季節に重宝しそうな一品だ。

 

 

(2022年12月5日投稿)