
大いなる航海は終わりを迎え、
勇者たちは今、家路につく。
ワールドカップ(W杯)2026北中米大会・決勝トーナメントの準々決勝、ノルウェー代表チームはイングランド代表に延長戦の末、惜敗。
まさに「惜しい」試合でした。どちらに転んでもおかしくない、延長戦までもつれ込んでの激闘。前回の日記に書いたように、私の本音は両方とも応援だったけれども、やっぱりノルウェーの敗北は残念だったな〜。それでも負けてもなお、試合後のピッチに佇んで相手と健闘を讃え合うノルウェー代表の面々には、ベストを尽くした果てのある意味清々しい風情すら漂っており、それがすごく印象に残った。まさしくgood looser、「よき敗者に勝るものなし」だ。
ストライカーのアーリング・ハーランド選手Erling Braut Hålandがコンディション不良で、特に後半以降の動きが乏しかったのが試合の趨勢に大きく影響したのは間違いない。これまでW杯の数試合を観てきた限りだが、ハーランド選手はどんなに守備陣に阻まれても自ら動いてパスを受ける立ち位置を見出し、決定機を作り出してきたのが凄さだったように思っていた。なので、後半の終盤以降ほとんど足が止まってしまったのは、素人目にも明らかに「異変」としか思えなかった。
それでも、試合後のインタビューでは体調不良だったのは認めつつも、ピッチコンディションの悪さは他の皆にも同じだから言い訳はしないと実に謙虚。試合後も長くスタジアムにとどまってファンサービスに徹するなど、自らの「役割」をきちんと果たす姿は実に清々しかった。実際には彼自身へのファウルの判定でせっかくの勝ち越しゴールが取り消されてしまった場面もあったのに、そのことで彼を批判する声はほとんど聞かれず、いかに世界中でハーランド人気が高まっているかの証左であろう。
その思いは本国ノルウェーの人々も同じだったようで、インスタグラムを見ると、人々は敗戦に落胆することなく深夜まで首都オスロの町はお祭り騒ぎだったようだし、代表選手が帰国してオスロに凱旋した際には、王宮前広場から目抜き通りのカール・ヨハン通りまで10万人の人が埋め尽くして歓呼の声を送ったという。北欧の小さな国がここまで世界に向けて存在感を示すことができたのが、皆素直に嬉しいのだ。その素朴な喜びが見ている我々にもよく伝わってきて、こっちまで嬉しくなる。
私自身も、今回のW杯でのノルウェー代表の活躍ぶりを見ているうちに、しばらく沈静化していた自分の中のノルウェー愛が再燃して、久々にノルウェーに行きたい気持ちがふつふつと湧き立ってきた。私個人は過去に4回行ったことのある国だが、最後に訪れたのは2009年。17年前だ。その間にあの国で変わったこと、変わらないこと、そしてまだ見たことのないものを見届けてみたくなったぞ。そのことだけでもノルウェー代表チームには深く感謝の念が絶えない。いつ行こうかな〜。

締めくくりに、追記をいくつか。
ひとつは、前回の日記で言及した、ノルウェーサポーター発祥の独特な応援スタイル「ヴァイキング・ロウ」(バイキング・ロー)。もうすっかり今回のW杯の最大の話題のひとつになった感があるが、その誕生秘話がFIFAの公式サイトに掲載されています(以下のリンク先参照)。
・舟を漕ぐ数千人:世界を席巻するノルウェーの応援「バイキング・ロウ」誕生秘話:
ノルウェー代表がブラジル代表を撃破した、そのピッチを囲むスタンドを埋め尽くしたブラジルサポーターたちの「黄色い海」の中で、赤きヴァイキングたちが見事に船を漕ぎ切ったことも、永く記憶されるべきだろうと思う。

もうひとつは、W杯以前の話であるが、ハーランド選手が自身が育ったノルウェー南西部の小さな村ブリンBryneに、父親のアルフ氏とともに2000万円以上で購入した希少な古書を寄贈したことが話題になっていた。このことを「NewsPicks」(ニューズピックス)にて、北欧中世史を専門としている歴史学者の小澤実さんが詳細に解説しており、実に興味深い。
最初に聞いた際には、書籍の中身は歴史家スノッリ・ストゥルルソンSnorri Sturlusonが書いた「貴重なヴァイキング叙事詩」と報じられており、「それってかの有名な『ヘイムスクリングラ』じゃないの!?」と大興奮した私だった(笑)。アイスランド出身のストゥルルソンが執筆・編纂してノルウェー宮廷に献呈した、ノルウェーの代々の王たちの列伝が『ヘイムスクリングラ』"heimskringla"であり、北欧中世文学の精華たる「サガ」(サーガ)Sagaの代表作のひとつとしてつとに名高い。「さすがハーランドくん、分かってるじゃん」とニヤリとしたものだ(笑)。
この小澤さんの詳細な解説を読むと、実際に寄贈した本は『ヘイムスクリングラ』だけでなく、それ以後のノルウェーの歴史の記述を含む長大な歴史書で、手書きの写本ではなく16世紀に印刷された「初期印刷本」だったらしい(もちろん、それでも十分に貴重だが)。小澤さんはそこから語り起こし、ノルウェーとイングランドの関わりの歴史や、現在ノルウェーを含む北欧諸国でヴァイキング文化の研究が盛んに行われていることまで言及されている。実に興味深い内容だ。
中でも、オスロのヴァイキング船博物館が改装・拡大され、2027年11月に「ヴァイキング時代博物館」Museum of the Viking Ageとして新たに開館するという情報には大注目。この博物館には、小澤さん同様私自身もオスロに行くたびに必ず行っており、ヴァイキング文化を最もよく味わえる場所のひとつだ。だから、そこが総合的にヴァイキング文化を展示する博物館として拡張リニューアルするのは、大いに楽しみだ。ノルウェーに行くのはこのリニューアル時期に合わせるべきかも。

最後に、2026年7月8日の日記「CONGRATS, NORGE!!!」が、同年7月10日に「はてなブログ」トップページの「きょうのはてなブログ」欄で紹介されました。しかもトップ掲載で(下の画像)。世間で話題になっていることをタイムリーに取り上げた形になっていたからでしょうか。

この日記の記事が「きょうのはてなブログ」欄で紹介されたのは、2025年12月14日の日記と2026年4月30日の日記に続き、これで3度目になります。きっと一般的なはてなユーザーの方の掲載頻度は、もっともっと多いのではないかと思います。そんな数多くのブログを見て回る中で、この拙い日記にも寄ってくださっているはてなのスタッフの方々の労力には、ただただ頭が下がるばかりです。またしてもこのようにご紹介くださったはてなの皆様に、厚く御礼を申し上げます。
そして、全2回同様この日記をご訪問くださった方々にも、この場を借りて御礼申し上げます。トップページ掲載当日の7月10日の「Unicorn Diary」へのアクセス数は263と、自分史上最高の数字でした(汗)。中には、応援のスターを残したり、私の日記「Unicorn Diary」の読者になってくださったはてなユーザーの方々もいらして、皆様に感謝するばかり。以前も書きましたが、私の目の力がとても弱いために、全ての皆様へ御礼とお返しのご訪問ができないことをお詫び申し上げます。

しかし、数日かけてこの日記を書いているうちに、W杯も準決勝が終わって残り少しになってしまった。宴の終わりが見えてきて、少々寂しい気持ちもある。
(写真は全て、2009年7月にノルウェー各地にて撮影)























