2020-01-01から1年間の記事一覧

【映画記録】街の映画館で雨天の紐育

半ば彼岸の淵を覗き込むような日々が続く。緊張を強いられて疲弊する一方で、鬱々とした思念ばかりが澱のように降り積もるこの十日ほど。ストレスが体調にも影響してイマイチな状態が続き、余計に鬱陶しい。 いつ事態が急変するか知れないので翌日以降の予定…

秋晴れの公園にて

すっきりと深い青色をした、爽やかな秋晴れの空に誘われて、自転車で砧公園へ。 公園内でのんびり散策しながら、点景をカメラに落とし込む。 芝生に覆われた原っぱが広がり、ヨーロッパの公園や英国の牧草地を彷彿とさせる。 砧公園はこういうだだっ広い原っ…

【映画記録】「宝石」という名を持つ人

これは、現代の私たちが本当に観なければならない映画のひとつではないか。 とはいいながら、観た翌日に泊まりがけで法事に出席し疲れ果てて帰宅した上に、尚且つ別途に重大な懸念を抱える身としては、この映画についてじっくり書いている時間がないかもしれ…

手向けの花

叔父の訃報に接する。 大好きだった叔父への手向けに、久々に花束を買ってダイニングテーブルに飾る。 気がつけば、彼岸を過ぎてすっかり秋が深まり、菊の花がほんのりと開く季節だ。 ほんのりと丸い菊の花々が、輪郭を震わせながら暗闇の中に浮かび上がる。…

朝ごはんにハムエッグ

この頃は、武田百合子の有名な『富士日記』を、ことの合間を見てはつらつらと読み進めている。 富士日記(上) 新版 (中公文庫 (た15-10)) 作者:武田 百合子 発売日: 2019/05/23 メディア: 文庫 小説家・武田泰淳の妻だった著者が、富士山麓で夫と過ごした13年…

【映画記録】名探偵と本格推理

レンタルしたDVDで、映画『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』"Knives Out"(2019年)を観る。 名探偵が登場する本格推理ものなので、ちょっと期待して観たのだが。 ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密 [DVD] 発売日: 2020/07/22 メディア: DV…

重力は時間を超える

109シネマズ二子玉川にて、クリストファー・ノーラン監督Christopher Nolanの名作『インターステラー』"Interstellar"(2014年)を、IMAXレーザーでの特別上映にて鑑賞してきた。同監督の最新作『テネット』"Tenet"に関連した企画だったらしい。 我が…

さらに、夏の終わり。

まさに今、この国は、いろいろな意味での「夏の終わり」に差し掛かっているようだ。 そのことを改めて認識する、この頃である。 2020年9月7日の日記に書いた経緯で、予定から一週延期で本日放映された大河ドラマ「麒麟がくる」第23話を観たときのこと。 ド…

【映画記録】名曲なくして名画なし

ずっと気になっていたドキュメンタリー映画『すばらしき映画音楽たち』"Score: A Film Music Documentary"(2016年)を、レンタルのDVDでようやく観ることができた。 score-filmmusic.com 小さい頃から映画音楽が大好きだった私。それも主題歌とかではな…

この国の「夏」の終わり

この国の「夏」は、確かに終わろうとしていた。白いワンピースと麦わら帽子の少女の姿は、間違いなくこの国が常に上向きで、「暑かった」時代をノスタルジックに象徴しているのだろう。 先日読了した、恩田陸氏の最新長編小説『スキマワラシ』。8月28日の日…

【映画記録】どんなに可愛くてもお子様はダメ

夕食時に久々に赤ワインを飲んで(上の写真)、ちょっといい気分になったこの日の夜。 食後にNHKで再放送中の「未来少年コナン」の昨夜放送分の録画を観ようとしたら、九州を席巻している超大型台風情報のために放送休止になり、一話分延期になっていた。…

【映画記録】ストーム・チェイサーたちの物語

(写真は2020年9月4日に、井の頭公園にて撮影) このところ大気が非常に不安定な日が多く、よく晴れていたのにたちまち入道雲が押し寄せて、激しい雷鳴が轟きにわか雨が降りしきってまた晴れる、なんてことが毎日のように起こっている。実際、ここ数日は何…

夏の終わり、天空の物語。

つい先日の2020年8月26日の日記にて、今年の夏に撮った面白い空の写真は上げ尽くした気分になっていたのだが、まだまだ夏は終わらず。それ以降の、8月の残りほんの数日にも、実に印象的で面白い空の姿に遭遇することになった。 今回は正確には、空というよ…

【読了記録】あの夏の記憶

(写真は2020年8月27日に、渋谷にて撮影。使用カメラはCANON EOS Kiss M) 恩田陸氏の最新長編小説『スキマワラシ』を読了。 買ったときから「この本は夏が終わらないうちに読まないと」と半ば直感的に思い、他の順番待ちの「積ん読」をすっ飛ばしてすぐに…

夏空の表情

今年は長い長い梅雨が8月頭にようやく開け、その途端に連日凄まじい猛暑の日々。だが8月も終わりに近づいて、ようやく蒸し暑さのピークは越えてきたようにも感じる。 今月は確かに湿度が高くて白っぽい晴れ空の日が多かったが、先日この日記に掲載した8月…

「過剰さ」に満ちた作品

急にすごく観たくなったので、我が家のブルーレイで映画『スター・ウォーズ/エピソード1 ファントム・メナス』"Star Wars: Episode I The Phantom Menace"(1999年)を久しぶりに鑑賞した。 スター・ウォーズ エピソードI/ファントム・メナス [Blu-ray] 発…

動画の貼り付け

この記事は、ちょっとしたテスト。 はてなブログはインスタグラムInstagramの画像を貼り付けられるのだが、画像と同じように動画も貼り付けられるかどうかを試してみたくて、インスタに投稿した動画をこちらにもアップしてみた。 ↑このようになりました。 こ…

皇帝という「役職」

中谷功治著『ビザンツ帝国 千年の興亡と皇帝たち』(中公新書)を本日読了。大変興味深い一冊だった。 ビザンツ帝国-千年の興亡と皇帝たち (中公新書) 作者:中谷 功治 発売日: 2020/06/22 メディア: 新書 大学時代に西洋美術史、特に中世ヨーロッパの歴史と…

青空の下で

8月11日は、くっきりと深い色の青空が広がる好日。 気温こそ前後の日々のようにとても高く、降り注ぐ陽射しの暑さ自体は半端ない。だが心地よい風が終日よく吹いて湿度をかなり下げてくれたので、陽射しを避ければずいぶんとしのぎやすい。日陰に佇んでいる…

100年後はやっぱりホテル経営?

下高井戸シネマにて、ようやく映画版の『ダウントン・アビー』"Downton Abbey"を観てきた。 ご存じ英国の超有名テレビドラマシリーズの集大成的映画化作品なのだが、私がこの十数年来すっかりテレビに疎いために、テレビシリーズは全く未見の状態。いきなり…

【映画記録】イタリア人の大家族主義

レンタルしたDVDで、映画『家族にサルーテ! イスキア島は大騒動』(2018年)を鑑賞した。このところ、新旧とり混ぜてイタリア語の映画をよく観ている気がする。 原題は"A casa tutti bene"。「いいことばかりが起こる家(家庭)」くらいの意味だが、ニュ…

長いお休みの果てに

つい先日のことだが、古書店にて、岩波書店の愛蔵版『アーサー・ランサム全集』全12巻を入手した。 アーサー・ランサム全集 全12巻 作者:アーサー・ランサム 発売日: 2005/01/21 メディア: 大型本 六人の探偵たち (アーサー・ランサム全集 (9)) 作者:アーサ…

詩は人の人生を左右する

(写真は2013年7月4日、南イタリア・サレント地方にて撮影) 7月4日に、レンタルしたDVDで映画『イル・ポスティーノ』"Il Postino" ("The Postman")を観た。1994年作。公開当時は折からのミニシアターブームに乗って、かなり人気があった作品だった記…

【映画記録】装幀者の姿

下高井戸シネマにて、映画『つつんで、ひらいて』(2019年)を観る。新型コロナウイルス禍による営業自粛などの影響もあって、映画館で映画を観るのはほぼ4か月ぶり。やはり映画館で、大きなスクリーンと本格的な音響設備のもとで映画を鑑賞するのは、本当…

【読了記録】芸術人類学とは

(写真は2014年7月19日に、アイルランド・ダブリンの国立考古学・歴史博物館(National Museum of Ireland Archaeology & History)にて撮影) 鶴岡真弓編『芸術人類学講義』(ちくま新書)を、この日に読了した。 芸術人類学講義 (ちくま新書) 発売日: 2020/…

【映画記録】イタリアの郵便配達夫

(写真は2013年6月25日に、イタリア・シチリア島エリチェにて撮影) この日に、レンタルしたDVDで映画『イル・ポスティーノ』(1994年)"Il Postino" ("The Postman")を鑑賞。 イル・ポスティーノ [DVD] 発売日: 2009/12/16 メディア: DVD イル・ポステ…

「サステナブル」なアートの在り方

6月16日に、木場にある東京都現代美術館に行き、企画展「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」"Olafur Eliasson: Sometimes the river is the bridge"を観てきた。 www.mot-art-museum.jp 当初は今年の3月から開催される予定だったが、新型コロナ…

【読了記録】いつでもどこでも始められる

荒木優太編著『在野研究ビギナーズ』(明石書店)を読了。 副題は「勝手にはじめる研究生活」。大学や研究機関に属さずに研究活動や、研究支援など周辺の活動をおこなっている14人が執筆した活動の記録に、3件のインタビュー記事が収録されている。 新聞の…

【読了記録】「フィクション」と「現実」の境界

話題になっていたルシア・ベルリンの短編集『掃除婦のための手引き書』"A Manual for Cleaning Women" by Lucia Berlin(岸本佐知子訳、講談社)を読了。 掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集 作者:ルシア・ベルリン 発売日: 2019/07/09 メディア…

【読了記録】目利きになる

白洲信哉著『美を見極める力 -古美術に学ぶ』(光文社新書)を読了。 美を見極める力 古美術に学ぶ (光文社新書) 作者:白洲 信哉 発売日: 2019/12/17 メディア: 新書 父方の祖父母は白洲次郎・白洲正子夫妻で母方の祖父は小林秀雄という、まさに「日本美意…