みょうがLOVE

 

 みょうが。ミョウガ。茗荷。

 今年の夏の私は、みょうが愛が止まらない。

 数年前にも突然生姜が大好きになって、それ以来生姜を使った料理が我が家の食卓に毎日のように登場するようになったことがある。私のその生姜愛は数年間全く途切れることなく続き、現在に至っている。

 だが、今年の私はそれに加えて、突然(本当に突然、としか言いようがないのだが)みょうがの美味しさに目覚めてしまった。

 ことの起こりは5月18日(私の誕生日の翌日だ)の夕食時に、食卓に登場した主菜おかず「牛肉の香味おろしのせ」(冒頭の写真)。料理家ワタナベマキさんの、我が家ではとても頻繁に引用される著書『つまみサラダ100』に掲載のレシピだ。

 

 

 我が家では牛肉はあまり食卓に上がらない。総じて値段が高いし、特に国産和牛の肉はさらに高額な上に脂が多くてお腹にくるので。だがこの日はよく行くスーパーで、豪州産牛のカルビ肉がとても安かった。オージービーフなら赤身メインでカルビ肉でも比較的脂少なめなので、アカミニストの私でも大歓迎だ。

 ということで久々に牛カルビ肉を買って何を作ろう、と妻が目をつけたのがこの料理。予め肉に塩胡椒でしっかり下味をつけてフライパンで焼き目をつけ、上から大根おろしに刻みみょうがと紫蘇を混ぜて醤油とレモン汁で味を付けたものをどっさりのせて食べる。実に夏向きの一品だ。

 この刻みみょうががとても美味しくて、私の心身に染み入ったのですよ〜。口の中でほんのりと広がる、独特の香りとえぐみ。軽いシャキシャキ食感。それがすごく美味しくて。大根おろしと紫蘇とみょうが、という夏に相応しい組み合わせもよかったのかもしれない。さらにレモン汁で、さっぱりと後味もよろしい。

 小さい頃から夏の食卓にはみょうがが、多くは薬味として刻みで頻繁に出てきた記憶がある。積極的に嫌いだったわけではないが、好んで食べた記憶もない。まあ子どもの味覚では、みょうがはあまり好まないだろうなあ。それが50代後半になった今頃になって突如「大好き」な香味野菜として、日々スーパーの広告で値段をチェックするほどの大きな存在(大げさか)になるのだから、人生何が起こるか分からない。

 

 

 これ以来、今年の夏はしょっちゅうこの「香味おろしのせ」を美味しく食べている。もう10回以上食卓に出てきただろうか。のっかるものは牛肉に限らず様々で、豚肉だったり(上の写真)厚揚げだったり(末尾の写真)。結局どれにのせても美味しいのだ。だが香味おろし自体には、常にみょうがと紫蘇は必須。みょうががなければ成り立たないのだ。刻みみょうがと紫蘇だけを冷奴にのせたこともあったが、これまたみょうがの風味をダイレクトに味わえて美味しかった。

 数年前からずっと生姜好きだと先述したが、生姜は季節問わずいつでも安く買えてオールマイティに美味しく食べている。それに対して、みょうがは同じ香味野菜でも収穫時期が初夏から初秋ごろまでと限られているので、やはり「夏が旬」のイメージだ。今年の夏も、まだまだ暑い盛りの8月。もうしばらくはみょうがの味覚を楽しむことができそうだ。