徒然

引き返せない一線

人が生きてゆくということは、実にたくさんの「引き返せない一線」を越えてゆくことなのだなあ、と最近とみに実感している。 私の右目の網膜剥離の緊急手術から2か月半が経過した(2024年2月13日の日記参照)。幸いにして術後の経過は順調だが、右目の視界…

網膜剥離と七回忌

近況報告、もしくは生存報告といいますか。 昨年後半もいろいろ不調があったのですが。 年が明けてまもないうちに、それらを吹っ飛ばしてしまう大変な事態が。 私の右目に深刻な網膜剥離が見つかりました。 直ちに緊急入院、緊急手術。 そのおかげで、危うい…

「脱クルマ社会」への取り組み

私たちが暮らす東京都世田谷区の保坂展人区長が、任期を新たにするごとに区内の各所を巡回して、区民と直接対話する「車座集会」。 長らく世田谷区に住む人にはお馴染みの車座集会だが、今年4月に行われた区長選で保坂氏が4選を果たした。それに従い、区内…

梅しごと19年目

6月といえば「梅しごと」の季節。 今年も、私たち夫婦の毎年恒例・梅酒作りの時季だ。 この日記で調べてみたら、我が家で初めて梅酒を漬けたのは2005年だった(2005年6月20日の日記参照)。なので、今年で19年目になる。一昨年の、実家を改築した新居への…

よく晴れました

5月17日。 私の誕生日である。56歳になりました。 毎年同じことを書くが、5月17日は私の誕生日であると同時に、ノルウェーの最も重要な祝日「憲法記念日」で、事実上の国の誕生日だ。ノルウェーの人々がとりどりの民族衣装を着て、国を挙げて私の誕生日を…

街の洋菓子屋さん

5月12日。 私の妻の誕生日である。 毎年同じことを書いて恐縮だが(そしてこれからも書くだろうけれども)、私の誕生日5月17日までの5日間だけ、夫婦で同い年になる。 12日当日は私の体調が悪く特に何もしなかったので、翌13日に「自分ちの庭」こと下北沢…

間奏曲

またもや前回の日記から2か月近くも、更新しないまま過ぎてしまった。 2月という悪しき季節をようやく潜り抜けてから、3月4月と暖かさを増して、空気の中に春の色合いが徐々に濃くなってゆくこの季節。 ようやく、自分の中の何かが目覚め始めて。 少しず…

3年ぶりの梅まつり

亡き父の誕生日であった2月22日。 我が家の近所にある羽根木公園に、名物の梅林の梅の花を観に行く。 折しも羽根木公園ではこの時季恒例の行事、第44回「せたがや梅まつり」が開催中。恒例といっても、コロナ禍でここ2年中止を余儀なくされたために、3年…

時の流れは

2月13日は、私の父の命日。 あれから5年が経った。 しとしとと降り続く雨の中を、墓参に向かう。 「そこ」には、もうその人はいないことを、ひしひしと感じながら。 墓参とは、ある意味でその人の「不在」をより強く感じる行為である。 そのように思えてな…

立春を過ぎて

昨年末に前回の日記を書いてから、ずいぶん間が空いてしまいました。 昨年末から今年の初めにかけて不測の事態(予測の事態?)が続けて起こったために、いきなり年始早々からバタバタ。新年の気分を味わうどころではなく日々の暮らしを回すことで手一杯だっ…

コロナかもしれない

前回の日記から2か月以上空いてしまった。 一度途切れてしまうと、復帰するのにかなりの時間がかかってしまう。私の悪いところだ。 前回の日記を書き上げてからほどなく、今からちょうど2か月前の7月25日に38度5分の高熱が出て、それから丸2週間寝込ん…

誕生日と祝日と忌日と

というわけで、妻の誕生日から5日後の5月17日は、私の誕生日。 55歳になりました。ゾロ目だ(笑)。 もう毎年同じことばかり書いていて誠に恐縮だが(でも書くけど)、5月17日は私の誕生日であると同時に、ノルウェーの事実上の建国記念日たる憲法記念日…

シカゴピザでお祝いを

5月12日は、私の妻の誕生日。 毎年同じことを書いて恐縮だが(でも書くけど)、この日から私の誕生日5月17日までの5日間だけ、夫婦同い年になる。 今年は、天気予報で誕生日当日が雨模様との予報が出ていたので(実際に雨が降る一日だった)、前日の夜に…

栄一巡りは続く

渋沢栄一の生涯を描くNHK大河ドラマ「青天を衝け」が昨年末に最終回を迎えてから、丸3か月が経った。私たちが最終回の録画を観たのは年が改まってからの1月5日だったが、それから数えても早3か月近い。 ではあるが、2022年1月5日の日記に書いた通り…

「歴史」を学ぼう

3月11日。 東日本大震災から11年。 あの災害の記憶を風化させてはいけない。 大地震と津波、原発が引き起こした大いなる苦難と、復興への血の滲むような足掻きを忘れてはいけない。記憶すること、語り継ぐこと。それがとても重要なのだ。 あの11年前の悲劇…

28年の月日を超えて

2月27日の日記で言及した、1994年リレハンメルオリンピックのフィギュアスケート女子シングル金メダリストにして、ウクライナ初のオリンピック金メダリストであるオクサナ・バイウルOksana Baiulについて、少々追記を。 まず、オクサナ・バイウルさんご本人…

花はどこへ行った

ウクライナという国名を聞いて私が真っ先に思い浮かべる人は、1994年リレハンメル冬季オリンピック大会のフィギュアスケート・女子シングルで金メダルを獲得したオクサナ・バイウルOksana Baiulだ。 ・オクサナ・バイウル - Wikipedia あの時、女子シングル…

飛鳥山にて「栄一詣で」

NHK大河ドラマ「青天を衝け」が最終回を迎え、ドラマが終わった今頃になって「渋沢栄一巡り」をしたくなり居ても立ってもいられなくなった(2022年1月5日の日記参照)私。 さっそく渋沢栄一ゆかりの地のひとつ、東京都北区の区立飛鳥山公園を訪れた。こ…

みんながうれしいのが一番

大丈夫だい。私が言いたいことはちっとも難しいことではありません。手を取り合いましょう。困っている人がいれば助け合いましょう。人は人を思いやる心を、誰かが苦しめば胸が痛み、誰かが救われれば温かくなる心を当たり前に持っている。助け合うんだ。仲…

住所が変わりました

そんなわけで(どんなわけだ)、新しい家で暮らしている。 私が生まれ育った東京は世田谷区代田にある実家を、独立型二世帯住宅に建て替える新築工事を今年(2021年)の頭から進めていた。私たち夫婦と私の母とが同じ屋根の下で個別に暮らせるようにとのこと…

冬至の銀婚

12月22日は、私たち夫婦の結婚記念日。 この日は、毎年ではないがほとんどの年において冬至の日に当たる。 今年(2021年)の12月22日も、冬至の日。 さらに今年は、私たちの新しい家で迎える初めての結婚記念日になった。 毎年結婚記念日に作る、恒例のブッ…

紙の本の「効用」

朝日新聞の毎週木曜日夕刊に掲載されている脚本家・三谷幸喜氏のコラム「三谷幸喜のありふれた生活」。毎週楽しみにして欠かさず読んでいるのだが、先日(12月2日)のエッセイ(第1064回)に、思わず我が意を得たりと膝を打った。 前週のコラムでは三谷氏は…

奇跡の夕景

この日記に書きたいことは山ほどあるというのに、なかなか書くに至らない日が続く。 昨年の終わり頃から種々の医者に通い続けた成果(?)もあって、昨年後半の最悪の状態からはだいぶ回復したが、まだまだ執筆や作品作りなどで画面を集中して凝視できる時間…

青天を衝き、雲を翔びこせ

このテレビドラマについて書こう書こう、と思うだけで一向に手が動かないうちに、どうやら放送が半分を過ぎてしまったようなので、慌てて少し書いておこうと思う。 現在放送中の、NHK大河ドラマ「青天を衝け」である。 大河ドラマ 青天を衝け 完全版 第壱…

紡がれた言葉は、永遠に。

児童文学者・翻訳家の神宮輝夫氏の訃報に接する。 享年89歳とのこと。 今はただ、逝きし魂の安らかなる平安を願うのみだ。 www.asahi.com 神宮輝夫さんの代表的な訳業としてよく挙げられるのは、『ツバメ号とアマゾン号』をはじめとするアーサー・ランサムAr…

命の極みの刻

玄関のドアを開けると、ポーチに瀕死の蝉が横たわっていた。 仰向けに転がって、わずかに弱々しく足を動かしている。 最期の刻を迎えつつあるようだ。 土の上で終末を迎えられるように、 そっと脇の植え込みの中に移してやった。 やがて、土に還ることができ…

巡り巡って

巡り巡って、妻の誕生日から5日後。 5月17日は私の誕生日。 何度も書いているが、5月17日はノルウェーでは最も重要な祝日だ。 さらに昨年の同じ日の日記に書いたように、この日の東京は超個人的認定の「晴れの特異日」なのだ。が、今年の5月17日の東京の…

母の誕生日

3月5日は、私の母の誕生日。今年で満82歳。 私の実家の近くにある、オープンしてまだ丸2年というイタリア料理店「Daitalia」(ダイタリア)にて、母と妻と私の三人でディナーをいただき、ささやかに誕生日を祝う。 www.daita-lia.com 新型コロナ禍による…

手向けの花

叔父の訃報に接する。 大好きだった叔父への手向けに、久々に花束を買ってダイニングテーブルに飾る。 気がつけば、彼岸を過ぎてすっかり秋が深まり、菊の花がほんのりと開く季節だ。 ほんのりと丸い菊の花々が、輪郭を震わせながら暗闇の中に浮かび上がる。…

朝ごはんにハムエッグ

この頃は、武田百合子の有名な『富士日記』を、ことの合間を見てはつらつらと読み進めている。 富士日記(上) 新版 (中公文庫 (た15-10)) 作者:武田 百合子 発売日: 2019/05/23 メディア: 文庫 小説家・武田泰淳の妻だった著者が、富士山麓で夫と過ごした13年…