街の洋菓子屋さん

 

 5月12日。

 私の妻の誕生日である。

  毎年同じことを書いて恐縮だが(そしてこれからも書くだろうけれども)、私の誕生日5月17日までの5日間だけ、夫婦で同い年になる。

 12日当日は私の体調が悪く特に何もしなかったので、翌13日に「自分ちの庭」こと下北沢の老舗洋菓子店「つくしや」でケーキを買って、二人で夕食後にいただいた(下の写真)。

 

 

 手前の「いちごフラワー」は苺がたっぷり仕込まれて、ふわふわしたクリームが優しい味わい。奥の「クラシックショコラ」は正統的なチョコレートケーキで、オレンジピールと胡桃が混ざったチョコレートのケーキ生地がみっしりと詰まっており、食べ応え十分だ。

 この「つくしや」は1958年の開業以来、お店の位置と形態は変化しつつも実に75年もの間、この下北沢の地で営み続けてきたという、本当の意味で老舗である。お店の移り変わりが実に激しい下北沢の地にあって、これほど長いこと営業し続けていられるのは容易なことではない。

 

tsukushiya.com

 

 それだけでもすごいことだが、「つくしや」が作るケーキ類は「普通に」美味しい。特に派手さはなくオーソドックスなものばかりだが、どれも見た目の期待に応える美味しさをちゃんと備えている。「街の洋菓子屋さん」として長らく親しまれている秘訣は、存外このような、奇を衒わぬ普遍的な美味しさをしっかり保ち続けていることにあるのではないだろうか。

 

(2023年5月14日投稿)