白洲信哉著『美を見極める力 -古美術に学ぶ』(光文社新書)を読了。
父方の祖父母は白洲次郎・白洲正子夫妻で母方の祖父は小林秀雄という、まさに「日本美意識のサラブレッド」とでも呼べそうな血筋を持つ古美術の「目利き」が、その「美を見極める力」を披露する一冊……ではなかったなあ(笑)。題名はあくまで惹句、という程度。当たり前です(笑)。そもそも見極めるべき「美」そのものが、そう簡単に定義できるものではないのだから。
それよりも、古美術をこよなく愛する著者が、数々の逸品やそれを取り巻く人々を、愛情たっぷりに語る、「つれづれ語り」の一冊として大いに楽しんだ。
直前に読んだ本が美術品のオークションに関する本だった(2020年5月25日の日記参照)ので、傾向の似た本を続けて読んだことになる。もちろん、これは意図的に続けて読んだわけで、同じ古美術蒐集について全く別々の側面からの見方が窺えて、非常に興味深い読書体験だった。
(2020年6月10日投稿)