【映画記録】イタリア人の大家族主義

 レンタルしたDVDで、映画『家族にサルーテ! イスキア島は大騒動』(2018年)を鑑賞した。このところ、新旧とり混ぜてイタリア語の映画をよく観ている気がする。

 原題は"A casa tutti bene"。「いいことばかりが起こる家(家庭)」くらいの意味だが、ニュアンス的には英語でいうところの"Everything is OK"(全て問題なし)に近い気もする。つまり「問題がない家」ということ。それぞれに問題だらけの家族も面々が集まる話なので、まあシニカルな題名なのだが。

家族にサルーテ! イスキア島は大騒動 [DVD]

家族にサルーテ! イスキア島は大騒動 [DVD]

  • 発売日: 2019/12/04
  • メディア: DVD
 

 

 ナポリ沖合の、観光地としても有名なイスキア島Isola d'Ischiaを舞台に、これでもかと家族のゴタゴタが繰り広げられる。その様は、まさに風光明媚な舞台であるだけに、同じ家族喧嘩でもなんとも贅沢。実にゴージャスに映ってしまう。その景色を眺めているだけでも観る価値十分にあり。

 それにしても、イタリア人の家族主義は見ていて、それだけで微笑ましい。この映画でも総勢19人のさまざまな世代の家族や親戚が集まって、夫婦の金婚式を祝うのだから、それはもう。リアルな人間の「絆」を大切にする国民性は、この映画でももちろん全開だ。会えばぎゅっとハグして両頬にキスは当たり前。それを大家族で集まって皆で一斉におこなうのだから、平常であれば本当に「人間賛歌」だなあと賞賛しきりである。

 それなのに、私なんかからすると、日本人が少しは見習ってもいいのではと思ってしまうイタリア人のこの人間らしい良さが、この新型コロナウイルス禍で裏目に出てしまったのは、本当に心から残念だ。でも、あんな風にみんなで思い切り「三密」しちゃうと、やっぱり感染拡げちゃうのだろうなあ。家族それぞれの諍いや行き違いよりも、時節柄ついついそれを想ってしまい、なんとも哀しくなる。映画そのものはとても楽しく観たのですが。

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(写真は、2013年7月5日に、南イタリア・プーリア州の街ブリンディシBrindisiにて撮影。アドリア海を臨む。イスキア島とは関係ありません)

(2020年9月6日投稿)