「ブラッサイ」展

ブラッサイ写真集成
 お茶した後は恵比寿ガーデンプレイスまで歩き、東京都写真美術館で開催されている「ブラッサイ−ポンピドゥーセンター・コレクション展」を観る。写真を見るのも撮るのも大好きで、(厳密な意味での写真とはちょっと異なるが)作品を作っている私にしては意外(?)なことに、この美術館の展覧会を観るのは初めてだ。展示室はだだっ広い一部屋のみで(中央にいくつか展示用の壁がしつらえてあるが)、そこに所狭しとブラッサイの写真作品が飾られている。
 私が今まで知っていたブラッサイBrassaïの作品といえば、夜のパリの印象的な風景とか、カフェの人々だったりした。だが、それ以外にも、生涯にわたって撮り続けた壁の落書きの写真や、さらには素描や彫刻作品まで展示されており、ブラッサイが単なる"写真家"にとどまらないアーティストとして幅広く活躍していたことが窺えて興味深かった。
 印象的だったのは、カフェなどの室内写真で、鏡が効果的に使われている作品が多かったこと。もちろん、そのカフェの内装に鏡が使われていたこともあるのだろうが、正面からは見えない部分も画面に収めることによって、なにやら秘められた感情や想いが見えてくるような効果があるように感じたのだ。