堂本尚郎展

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 新聞販売店からタダ券をもらっていたので、世田谷美術館で開催中の企画展「堂本尚郎展」を、妻と一緒に観てきた。日本画から出発し、ヨーロッパで抽象絵画の世界に身を投じ、今日まで抽象絵画の可能性を探求してきた60年の画業を辿る、本格的な回顧展だ。
 と言っても、私はこの人の作品を、寡聞にしてほとんど知らなかった*1。ただ、新聞か何かで目にした氏の作品がいい感じだなと思っていたので、ちょっと観てみたかったのだ。
 会場展示の構成は、初期の日本画(にしてはとてもモダンな感じで好感が持てる)から、アンフォルメル時代の抽象画、さらに幾何学的構成が主流の作品へ変遷し、最後には最近の、偶然性と余白の美を特徴とした、ある意味"和"への回帰とも思える作品群で幕を閉じる。抽象的な、"純粋な"絵画への試みの変遷とでも言おうか。どの時代の作品も、なかなか私好みで面白かった。家に飾っておいて、いつまでも眺めていたい感じの作品が多かった(特に最近の作品群)。もちろんそれは叶わないので(笑)、観終わってからカタログを購入した。このカタログの装丁がまたとても凝っていて、装丁好きの私にはとても嬉しい。特に、表紙が、紙のようなゴムのような、なんともいえない不思議な手触りで面白い。一体どんな素材を使っているのだろうか?
 ふとした動機から観た回顧展だったが、予想外に収穫が大きく、大変満足する内容だった。世田谷美術館の企画展は、こういう現代作家を取り扱ったものにいいものが多い気がするなあ。

(写真は世田谷美術館の前庭にて)

*1:堂本尚郎」の読みは「どうもと ひさお」なのだが、どうも私には「どうもと なおろう」と読めてしまう。困ったことだ(笑)。