小さな町で

studio_unicorn20060406

 仕事の昼休みの時間に、神保町にある「gallery福果」という小さなギャラリーで開かれている、六田知弘(むだ・ともひろ)という写真家の小さな写真展を観た。
 個展名は「poli」。ポリPoliという、イタリアはローマの東方約30kmに位置する、中世から存在する丘の上の小さな城砦都市の風景や日常、人々を、この写真家が何度も通い、時には1か月ほど滞在して撮影した、モノクロームの写真が、8畳くらいの小さな部屋に整然と展示されている。
 イタリア好き・中世好き・モノクロ写真好きの私にとってはたまらない写真が多くて嬉しい。実は先週も一度訪れたのだが、とても気に入ったので今日再び観に来たのだ。ポリに暮らす人々を写した写真もあるのだが、私としてはやっぱり風景や静物写真のほうが好みで、深く印象に残る。特に、室内を写した、何気ないけれども静謐でミニマルなたたずまいが素晴らしい作品や、いかにも丘の上の中世都市らしい入り組んだ町並みや石段を写した作品が素晴らしい。私自身がイタリア旅行中に行った同じような丘の上の中世都市を思い出させて、懐かしさ(&また行きたい気持ち)も混じる。ひとつ購入しようかな、とさえ思ったほど(けっこう手が届く値段だった)。
ポリの肖像
 六田さんのオフィシャルサイトを拝見すると、これらのポリの写真は、10年ほど前に撮影されたものらしい。「ポリの肖像」という写真集も出ている(会場でも売られていた)。モノクロ専門の人かと思いこんでいたのだが、他の写真を見るとカラーも多いようだ。来年には、中世ロマネスクの美術を写した作品展が、西洋美術館で行われるらしい。ロマネスク大好き!な私としては、これは観に行くしかない。
 ちなみに、このギャラリー「gallery福果」は、神保町の裏道の、有名なカフェ「さぼうる」の隣の2階にある、実にこぢんまりとした雰囲気のいいギャラリーである。2年前くらいにオープンしたらしい。しょっちゅう前を通るので、ときどき気になった展示があるときは訪れていた。ここで、私の作品展をやってもいいかな〜なんて、思ったりもする。賃料がそれなりなのと、都心らしく日曜日が休みなのが、玉に瑕なのだが……。

(写真は、2004年7月、イタリア・トスカーナのコッレ・ディ・ヴァル・デルサColle di Val d'Elsaにて。六田さんの写真とは何の関係もなく、私が撮影。Photoshopでほんわりした加工をかけています))