「眺めのいい部屋」

　「眺めのいい部屋」"A Room With A View"。留学経験もあるほど英国好きで、さらにイタリア（特にトスカーナとヴェネツィア）好きな私が、意外にも（？）、フィレンツェと南部イングランドを舞台にしたこの映画を実は観たことがなかった。
　というわけで、20年来密かに気にしていた映画だったのだが、ようやく妻と一緒にDVDを観る機会に恵まれた。
　冒頭からフィレンツェの光景（それだけでなく、郊外の田舎まで！）がこれでもかと展開するだけで、もう私には涙ものなのだが、さらに後半は英国の田園風景がこれでもかと展開する。それだけで私にはもう何も言うことがない。優雅でゆったりとした英国上流階級の暮らしぶりも観ていて心地よい。水浴びの場面は苦笑してしまったが。
　まだ若々しいヘレナ・ボナム・カーターHelena Bonham Carterの眉毛の濃さ（笑）とジュリアン・サンズJulian Sandsの不思議なしゃべり方も気になったが、この映画の立役者はマギー・スミスMaggie Smithとデンホルム・エリオットDenholm Elliott（合掌）の二人。特に、なんと言ってもデンホルム・エリオットの好演が素晴らしい。最後の場面での台詞は特に印象に残った。私にとっては、この人は「インディ・ジョーンズ」シリーズのマーカス・ブロディ役の印象が強いのだが、こういう役どころで演技達者なところを発揮していたのですね。