"ほっこり"ではなく"ほんのり"

花ボーロ (IKKI COMICS) しろいくも (IKKI COMICS)
 「ゆめの底」を読んで、大変気に入ってしまった岩岡ヒサエさんのまんがだが(2006年3月15日の日記参照)、このたび小学館のイッキコミックスから出ている「しろいくも」と「花ボーロ」をまとめて手に入れた。これで岩岡さんの商業出版された単行本は全部揃ったことになる。
 最近知ったのだが、岩岡ヒサエさんは同人誌のキャリアが長く、その世界では、かなり有名な方なのだそうだ。「しろいくも」や「ゆめの底」に収められている作品の多くは、同人誌として発表されたものだ。
 岩岡さんのまんがの魅力を一言で言い表すことはできない。ましてや"ほっこり系"などとレッテルを貼って片付けるようなのはもっての外だ。だいたい(岩岡さんに限らないが)一言で言えるようなことだったら、わざわざまんがの形で表現する必要もない。作品を読めば、その独特なコマの間合いやせりふ回しや愛らしい絵柄を目の当たりにすれば、おのずと分かると思う。
 ただ、ひとつキーワードを挙げるとすれば、「ほんのりと」かなと思う。ほんのりと優しい。ほんのりと寂しい。ほんのりと懐かしい。決して声高に何かを叫ぶのではなく、エピソードの隙間からほんのりと染み出してくる"何か"。そんなものを岩岡さんの作品から感じるのだ。