「アーティスト・ファイル2008」

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 小雨の降る中、妻と一緒に国立新美術館へ。しばらくぶりにきたら、地下鉄乃木坂駅からの直結出口ができていてびっくり。
 ここで開催中の企画展「アーティスト・ファイル2008」が5月6日までだったので、どうしても観たかった私は慌てて(笑)来たのだった。
 "The NACT Annual Show of Contemporary Art"と題し、国立新美術館学芸員が推薦したいor紹介したい作家を持ち寄って企画する、新しい展覧会プロジェクトで、今回を皮切りに毎年開催するらしい。東京都現代美術館で毎年やっている「MOTアニュアル」の新美術館版、というところか。
 今回出展しているのは以下の8人のアーティスト。

  • エリナ・ブロテルス Elina Brotherus
  • 市川武史
  • ポリクセニ・パパペトルー Polixeni Papapetrou
  • 佐伯洋江
  • さわひらき
  • 白井美穂
  • 祐成政徳
  • 竹村京

 どの展示も非常に面白かったが、中でもダントツに気に入ったのが、さわひらきさんのヴィデオ・インスタレーション。私は映像作品は、単なる映像だけよりも映像自体がインスタレーションになっている作品のほうが好きなのだが(そのほうが飽きないし)、この作品"hako"は、暗い部屋のあちこちに6個のモニターが散らばって、まさにインスタレーション。流れる映像と音楽も、非常にミニマルで静謐なものばかりで、私の大好きな要素が満載。この作品の部屋は、本当にいつまでも居たい気にさせてくれて、素晴らしかったなあ。
 エリナ・ブロテルスさんの、美術史の伝統や過去の名画へのオマージュに満ちた肖像&風景写真も素晴らしかったし、ポリクセニ・パパペトルーさんの童心と残酷さが同居したような写真作品もとても気に入った。佐伯洋江さんの、日本画の「間」を生かした屏風絵の伝統に則った一方で、細部の非常に緻密な描き込みがそれを裏切るという絵画作品も非常に素敵だ。
 とても力の入った展覧会、作家ごとに分冊されてケースに入ったカタログも購入の価値あり。来年も期待したいものだ。