たったひとつの罪

studio_unicorn20080710

映画「つぐない」オリジナル・サウンドトラックつぐない [DVD]
 夕方、仕事のあと直接下高井戸に行き、下高井戸シネマで妻と合流して、一緒に映画を観る。
 編集者をしていた頃は、もともと時間のやりくりが非常に不器用なこともあり、「アフター5」なんて事実上存在しなかった。今でも、その頃の名残なのか、よほどの大切な予定でも入らなければ、平日の仕事のあとに遊ぶ、ということはなかなかしない、いや、できない身になってしまっていた。なので、こうやって平日の仕事のあとに映画を観る、というだけでなんだか新鮮な気分だったりするなあ。
 観た映画は、「つぐない」"Atonement"。観たいな〜と思っていた割にはほとんど映画についての予備知識がなく、どうも同じキーラ・ナイトレイKeira Knightley主演の「プライドと偏見」(監督も同じ)とごっちゃになっていたようで、「つぐない」の原作がジェーン・オースティンだと思い込んでいた始末(笑)。
 切ない映画だった。たった一つの罪、それが、2人の恋人の人生を引き裂いてゆく。ラストの告白を目の当たりにして、時の流れを戻すことはできないことの重さ、切なさをひしひしと感じてしまう。子どものしたことであっても、許されない罪というのはあるのだ。
 前半の英国上流階級の暮らしぶりに素敵な館。時に幻想と残酷さが入り混じる、凝った映像の美しさ。物語のひとつの"カギ"であるタイプライターの音を効果的に使用したり、切ないピアノのメロディが素晴らしい音楽……。見応えのある映画でした。キーラ・ナイトレイの可憐な演技は良かったが、ちょっと痩せすぎな気が。相手役のジェームズ・マカヴォイJames McAvoyがまたすごくいい。端正な英国的美青年の顔と野性味溢れる側面を併せ持つ、いい俳優さんだ。が、「ナルニア国物語」のタムナスさんを演じた人だとは気づかなかった(笑)。

(写真は、英国・コッツウォルズマナーハウス"The Lords of the Manor"にて。2005年7月11日撮影)