クライマーズ・ハイ

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ASIN:B001CFEE0Oクライマーズ・ハイ (文春文庫)
 妻と渋谷に行き、映画「クライマーズ・ハイ」を観る。
 普段いわゆる"社会派"の小説とか映画には縁のない私だが、この原作の、横山秀夫さんの小説は、ジャーナリズムとかものづくりの現場の"熱さ"を見事に描き出した、超傑作。私も妻も読了していて、2人とも大好きな小説だ(2006年6月9日の日記および私のホームページのレビュー参照)。そんな大好きな、思い入れの強い小説の映画化なので、過度な期待はせずに、でも今大活躍中の堤真一さんが主演ということで、ちょっと楽しみにして観たが、けっこう面白く観られました。
 この原作の最大の特徴だと私が思うのは、私のホームページのレビューでも書いたのだが、物語の(1985年パートの)ほとんどが新聞社の内部および周辺で主人公・悠木を追うように展開して、事故現場の臨場感は電話と談話など間接情報として伝わってくるということなのだが、さすがに映画のほうはヴィジュアル要素が強いので、悠木の部下たちの視点も(当然ながら現場の映像も)持ち込まれていた。それが、原作と映画の大きな違いだったかな。それでも、新聞社でのリアルな編集活動は見事に表現されていて、さすがの見応えでした。
 設定も、原作からずいぶん変更&簡略化されていて、ラストなんかは原作にない部分も多かったが、まあ映像化の制約だから仕方ないか。より深いドラマ、という意味ではさすがに原作に一歩譲っている。家に帰ってから、たまらず原作を読み返してしまったほどだ。もう一度ちゃんと読み返そうかな。
 それでも、堤真一さんと部下役の堺雅人さんの演技は素晴らしかった。この2人の演技こそが、この映画の最大の見所なのは間違いない。それでも、堤さんが大声で怒鳴るシーンは、つい"鈴木オート"の面影が……(笑)。
 私は観なかったのだが、かつてNHKで放映されたテレビドラマ版では、悠木の役は佐藤浩市さんが演じていたっけ。そういえば、堤さんと佐藤さんはどことなく似た雰囲気があるような気がするな。同じ役を演じたから、そう思うだけか?

(写真は、映画の後に入ったスペインバルで飲んだサングリア。店が暗かったのでブレてます)