光と追憶の変奏曲。

studio_unicorn20080823

コロー 名画に隠れた謎を解く!
 雨模様の天気の中、妻とはるばる上野まで行き、国立西洋美術館で開催中の「コロー 光と追憶の変奏曲」展を観てきた。
 ジャン=バティスト・カミーユ・コローJean-Baptiste Camille Corot。19世紀フランスの画家。コローはやっぱり風景画が素晴らしい。と展覧会を観て思った。特に中期以降のふわっとした樹木の表現や、中景〜遠景の空気感の描写が素晴らしい。当時の(以後のも?)他の画家には真似できなかった、コローならではの珠玉の風景画をいくつも観ることができて、とても満足した。
 それに比べると肖像画や人物画のほうは、正直言ってコローでもなくても描けるような絵ばっかりのような気がして、あまり惹かれなかった。今回の展覧会の呼び物らしい"コローのモナリザ"こと「真珠の女」にしても、単体の作品としてはいい絵だと思うが、コローの独自性はあまり感じられず、やっぱり余人に真似できない風景画の素晴らしさには及ばない。なんでこれを"ウリ"にしているか、理解に苦しむほどだ(ホントは分かるけれど)。

 と、なかなか楽しんだコロー展の印象は、次回展「ヴィルヘルム・ハンマースホイ 静かなる詩情」の前売チケットが美術館窓口ではまだ販売されていないと知って、あまりの怒りに吹っ飛んでしまった。オンラインやチケットぴあでは販売されているらしいが、私が欲しいのはちゃんとハンマースホイの絵が入った紙のチケットなのだ。次回展だよ? 当該美術館だよ? 来週でコローは終わっちゃうんだよ? 普通次回展のチケットを前の展覧会の期間中(少なくとも後半)には販売しているものじゃないの? そうやってお客さんを繋いでいくものじゃないの? しかもハンマースホイ展はメインで企画したのが、この西洋美術館の学芸員だという。だったらなおさらアピールしなきゃダメじゃん! わざと人を来させないようにしているとしか思えない西洋美術館のやる気のなさに、怒りを通り越して唖然としてしまった。せっかくハンマースホイ展のチケットを買う「ついで」にコローを観に来たようなものなのに……。またわざわざ上野くんだりに来る気も用事も暇もないし、どうしたものか。
(その後、8月28日からようやく美術館窓口でもハンマースホイ展のチケット販売が始まったらしい。遅すぎるよなあ……)
 西洋美術館のへっぽこオペレーションはともかく、ハンマースホイ展自体は個人的にはものすごく応援したいので、この日記のトップにもしばらくリンクを貼っておくことにしよう。