妻も読了

studio_unicorn20090217

「ハリー・ポッターと死の秘宝」 (上下巻セット) (ハリー・ポッターシリーズ第七巻)
 昨年の半ばからこのかた、「ハリー・ポッター」シリーズを1巻から延々読み続けていた私の妻(2008年5月30日の日記参照)。夜帰宅すると、妻から、ついに今日、最終巻を読了したと報告が。
 妻のマイペースな、ゆっくりとした読書スピードで、約10か月かかって全7巻を読破したことになる。なんにせよ、めでたいことだ。これでようやく、妻ともハリー・ポッターのネタバレ話ができるな。私のほうは、日本語版だと昨年の夏に最終巻を読了済み(2008年8月6日の日記参照)。

(写真は、ロンドン・テムズ河畔。2002年7月2日撮影)
マーブル・アーチの風 (プラチナ・ファンタジイ)
 私のほうは、コニー・ウィリス氏Connie Willisの小説集「マーブル・アーチの風」を、ほぼ読了しつつあるところ。大好きな作家の、「最後のウィネベーゴ」(2007年1月16日の日記参照)以来の作品集なので、とても楽しみに読んでいるが、やっぱりこの人の小説はすごく面白い。
 5編の中短編が収録されており、どれもすごく面白いが、特にお気に入りをひとつ選ぶとしたら、英国好きとしてはやっぱりロンドンが舞台の表題作「マーブル・アーチの風」かな(ちなみにウィリス氏は米国コロラド州在住だが、かの名作「ドゥームズデイ・ブック」「犬は勘定に入れません」のタイムトラベルシリーズは、どちらも英国が舞台だ)。胸にじーんと染みる、そこはかとなくすがすがしさと爽やかさに包まれたラストも素晴らしかった。時の流れの堆積、鬱屈しかけていた時間の堆積を解き放ち、風のように身軽になって未来へ、やがて来たるべき終着駅へと飛翔する。この物語の本当にエッセンスは、ある程度歳をとらないと分からないのかもしれない。ちょっと違うファンタジィだがラッセル・ホーバンRussel Hobanの名作「ボアズ=ヤキンのライオン」の、こちらもすがすがしいラストを思い出した。
 今回の本も、SF的奇想とラブコメが絶妙に融合した一筋縄でいかない物語が多く、ハッピーエンドが気持ちよい。そして、今回の作品集で気づいたのだが、コニー・ウィリス氏の小説の面白さのひとつに、登場人物たちの会話の軽妙で知的な、ユーモアに満ちたやりとりがあるように思う。この会話が話の中でうまく機能して、物語全体にいいリズムを作っているのかな。

(写真はロンドンにて。2008年9月12日撮影)