子どものオモチャ箱

ミックマック スペシャル・エディション [DVD]
 夕方、妻と自転車で下高井戸へ行き、下高井戸シネマで映画「ミックマック」"Micmacs à Tire-Larigot"を観る。
 作品展がらみのいろいろがあったせいでなかなか足を運べず、下高井戸シネマで映画を観るのは、本当に久しぶり。でも、この映画を見逃さずにすんでよかった。
 「アメリ」"Le Fabuleux Destin d'Amélie Poulain"(2005年9月4日の日記参照)のジャン=ピエール・ジュネ氏Jean-Pierre Jeunetの監督作。なので「アメリ」と同じく、遊び心に満ちた“子どものオモチャ箱”のような映像世界の魅力が楽しい。レトロなメカを始め、懐かしさを感じさせる小道具がたくさん出てくるのも、宮崎駿氏の映画にも通じるこの監督の特徴だ。すぐ「作戦」に走る(笑)ところも、「アメリ」同様“子どものオモチャ箱”っぽい感覚だな。
 ジュネ作品の常連ドミニク・ピノン氏Dominique Pinonの濃いくちゃくちゃ顔が相変わらず健在だったり(「アメリ」と4人キャストが共通)、細かい部分でも見所多し。「アメリ」同様、全編パリが舞台だし。パリにまた行きたくなってしまった。
 それにしても、懲らしめる相手が軍需産業なのでいいとしても、この作品といい「アメリ」といい、必ず“懲らしめる”要素が入ってくるのは気になるな。ジュネ監督の少年のような世界は、子どもっぽい無邪気さと遊び心の裏返しで、時として非常にダークで暴力的な側面を見せることがある。最近の作品ではかなり薄まってはいるが、これら“懲らしめる”モチーフに潜んでいるようにも感じる。