根比べ

 気象情報(と今は「義経」)以外はめったにテレビを観ない私たち夫婦だが、たまたま気象情報の後に始まったNHK夜10時のニュースの冒頭に、新しいローマ法王を選ぶコンクラーベの事が出ていたので、珍しくそのまま観てみることにした。
 しかし最初に郵政民営化のニュースを延々と、それから中国の反日デモ関連のニュースを延々と観るハメになってしまった。こっちが観たいのはコンクラーベなのに、郵政民営化に反対する議員が混乱の中で「こうなったら根比べだ」と叫ぶのを見てしまう始末(あそこでわざわざ「根比べ」とテロップを入れたディレクターは確信犯にちがいない)。まあ、ほとんどの日本人にとっては、これら2つのニュースのほうが大事なのはわかる。でもテレビを観ない私にとっては、これらのニュースは新聞とネットニュースで事足りてしまうのだ。それでも、テレビでわざわざコンクラーベだけは観ようと思ったのは、ひとえにめったに見られないローマ教会の映像が見られるかなと思ったから。枢機卿が大勢集まっている映像やローマ教会の絢爛豪華な映像なんてそうそう見れるものじゃない、と思う。ヨーロッパのそういう「しきたり」めいたものが大好きなことでもあるし。
 まあガマンして(根負けせずに?)待った甲斐があって、コンクラーベの映像はなかなか面白かったです、はい。でも新法王はまだ決まっていないのね。
 (追記…このあと、新法王が決まって「ベネディクト16世」が誕生したとのこと、よかったよかった)
 ローマ法王についてもう少し書くと、前法王のヨハネ・パウロ2世が即位したときのことは、小学生のときの記憶ながら良く覚えている。ちょうど学校の授業で「新聞を読みましょう」とか新聞を使った授業があったりして、新聞を読む習慣がついてきた頃だったので、その前のヨハネ・パウロ1世の即位の記事なんかは、切り抜いてスクラップブックに貼ったりしたものだった。
 ところが1か月後に、そのヨハネ・パウロ1世が急死したという記事を新聞で読んで、とてもびっくりした。当然私も子供心に「これは何かの陰謀だ」と思ったのだが、小学生ではそれ以上詳しいことは知りようがない。そして次に目にするのはヨハネ・パウロ2世の即位の記事だった。ポーランド人とのことであったが、それ(イタリア人でないこと)がどのくらい重要なことなのかは、当時の私には知る由もなかった。
 今改めて考えると、あれ以来四半世紀以上もの間、同じ人が法王であり続けたというのはすごいことなのだなあとしみじみ思う(日本の首相もアメリカの大統領も、その間に何人も入れ替わったというのに)。