英国5日目・Canterbury Cathedral

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 カンタベリーCanterbury観光の最大の見所といえば、言わずと知れた英国国教会の総本山、カンタベリー大聖堂Canterbury Cathedralである。
 ケント大学の丘の上からCanterburyの町を見下ろすと、町の真ん中にどーんと巨大な大聖堂がそびえ、その周りに小さな建物がこちゃこちゃと身を寄せ合っているように見える(確か大きい建物を建てるのは法律で規制されているはず)。それほどに、大聖堂はこの町の象徴なのだ。というより、大聖堂があるからこそCanterburyは町として栄え、発展したと言うほうが正しい。
 大聖堂の外観は素晴らしく巨大で壮麗だが、ややごちゃついた印象もある。これは、今の姿になるまでに500年以上かかり、火事による消失や度重なる増築を経て、建設しているうちに様式がどんどん変化してしまったことによる。ここと肩を並べる格式のヨーク大聖堂、ヨーク・ミンスターYork Minsterは200年少々という短い期間で完成したおかげで、ひとつの様式で統一が取れているのとは対照的だ(私自身はYork Minsterは未見なのだが)。とは言っても、かえってひとつの教会でノルマン様式からロマネスク、初期ゴシックや中期ゴシック様式といろいろ見ることができるのが、私などにはとても面白いし、それも私がこのCanterbury Cathedralを好きな一因なのだが。
 そんなわけで我々も、この日はまず大聖堂から見学しようと出かけたのだが、行ってみると、今日入れるのは主祭壇であるTrinity Chapelと地下聖堂だけで、聖堂の3分の2を占める巨大な伽藍、身廊には入れないと言う。理由は、昨日から3日間、ケント大学University of Kent at Canterburyの学位授与式=卒業式が聖堂内で執り行われているためだった!
 すべて理解した。ホテルがあんなに満室ばかりだったのも、レストランが満杯だったのも、全てはこの卒業式のせいだったのだ。卒業生の家族や親戚が(近くから、あるいは遠い国から)この町に押しかけているわけですな。とんでもない(?)日に当たってしまったと言うべきか……。
 私自身は、ケント大学には1年間の交換留学生だったので、もちろんこの卒業式には出ていないが、この大聖堂で毎年行なわれる、大学主催のクリスマス燭火礼拝には出たことがある。私の日本の大学でも、クリスマスには礼拝堂でキャンドルサーヴィスが行なわれていたのだが、こちらは中世以来の、ほんものの壮麗な大聖堂である。雰囲気も格も桁違いに素晴らしくて、ものすごく感激したのを良く覚えている。(ただ大きすぎるゆえ、めちゃめちゃに残響が響きまくってしまうのが、音楽を聴くのにはいささか不向きだったりもするが)
 とにかく入れるところだけでも十分大聖堂の良さは味わえるからと入場し、大聖堂の内部を見学して回った。薀蓄やら思い出やらいくら書いても切りがないので、これ以上は省略するが、聖堂本体の脇にある回廊もまた見事であることと、国王エドワード3世の王太子で「黒太子」The Black Prince(某サーガの読者の人にはピンと来る名前だったりする。私もその一人でした)と呼ばれたエドワード王太子の墓は重要な見どころであることだけを書いておく。もちろんその両方とも我々は見ることができました。

(写真は、大聖堂の外にある遺跡らしきところのくぼみに、ピタリとおさまってひなたぼっこしていたネコちゃん。とても絵になる姿だった)