英国7日目・Tate Modern

 次に行ったのは、同じテムズ川沿いでもだいぶ東にある美術館テート・モダンTate Modern。これも2000年に完成した美術館で、火力発電所だった建物を美術館にコンヴァージョンしたアイディアは、さすが。発電所時代の高い煙突をそのまま残し、独特かつ認識しやすい外観がまず素晴らしい。中もものすごく広々としている。妻と私は3年前にも訪れたことがあるので、今回で2度目の訪問だ(私の両親は初めて)。
 まずミュージアムカフェで軽くパスタなどを食べて昼食。ここのカフェは開放感があって好きだ。食事のメニューも豊富。それからおもむろに(?)ギャラリーに入る。
 企画展はフリーダ・カーロFrida Kahloの作品展だが、入場料もかかるし私はFrida Kahloにはまったく興味がないのでパスし、常設展を観にゆく。常設展だけでもものすごい数の作品が展示されているので、一点一点じっくり観ていたら一日ではとても足りない。常設展は無料なので*1、こちらに長期滞在するのだったら(あるいは住んでいるのだったら)何日もかけて通っているところだろうが、我々は旅行者なので、けっこう駆け足になってしまう。残念だ。
 常設展示は、

  • History/Memory/Society
  • Landscape/Matter/Environment
  • Nude/Action/Body
  • Still Life/Object/Real Life

と4つのテーマに分けられて展示されている。ピカソPicassoデュシャンDuchampなどの“古典”から、現在も活躍中の作家たちの作品まで、多種多様に展示されていて、本当にいろいろな作家のいろいろな作品が楽しめた。けっこう駆け足で観た割には、とても満足した。うーん、でも本当にこちらで暮らしている人は羨ましい、何度もこの美術館(だけでなく他のいろいろな美術館もすべて)に通えて。
 作者名は忘れてしまったが(これからメモを取る癖をつけることにしよう)、皿に盛られた果物という、いかにもセザンヌ的な映像が、高速撮影で10分くらいのうちにみるみる腐ってゆき、変わり果てた姿になってしまうというビデオ作品がとても印象に残った。その作品がまた"Memento Mori"(ラテン語で「死を想え」という意味)という部屋に展示されているのも意味深く、いろいろと考えさせられてしまった。あと、大好きなアンゼルム・キーファーAnselm Kieferの作品を観られたのも嬉しいが、同じドイツ出身のヨーゼフ・ボイスJoseph Beuysの作品を初めてじかに見て、すごく気に入った&いろいろ調べてみたくなったのも収穫だった。
 一通り観終わったあとは、売店Bookshopで本を物色。ここのBookshopはとても巨大で、本も大量にあって嬉しい。本当に目移りしてしまう。いろいろと逡巡した挙げ句、もう少しJoseph Beuysについて知りたいと思ったので、つい2か月前までここで行われていたJoseph Beuysの企画展(残念! あと2ヶ月早くここに来ていればなあ。Beuysだったら絶対に企画展を観たのに)のカタログを購入。もう一冊、これも大好きなミニマリズムについて俯瞰した本も購入。満足した。
Beuys, Joseph: Actions,vitrines,envir Minimalism (Themes & Movements (Paperback))

  • Tate Online(Tate BritainやTate Modernなど、テート美術館の公式サイト。トップページ上のほうにある"Tate Modern"をクリックすると、Tate Modernの情報を見ることができます。日本語も一応あり、かなり簡略化された情報だけだが)

*1:英国の公立美術館は、嬉しいことに常設展はほとんど無料である。やっぱり政府がアートに対してきちんと向き合っている国は違いますねえ。