英国7日目・良きものが失われて

 夕食はちょっと失敗してしまった。最後の晩だし、3年前に一度行ったことのある、ソーホーSohoのメッツォMezzoという、コンラン卿プロデュースの規模は大きいが美味しい英国料理のレストランにしようと思った。ところが、(あとで考えるとこれが失敗だった)ちょっと疲れていたのでホテルの人に予約をお願いしたところ、予約が取れたと言う。いざ時間になってお店に行ってみると、確かに建物にはでかでかと"Mezzo"の文字があり、身覚えていた通りなのだが、入り口にある店の名前が違う。場所の間違いではない。おかしいなと思ってドアマンに訊いてみると、最近キューバ料理の店"Floridita"に変わったと言う。ショック! せっかく、あの美味しい&楽しい英国料理のレストランのつもりで来たのに、キューバ料理だあ?
 中に入ってみると、確かにこの店で予約が入っている。店内の構造も記憶していた通りだ。この店で間違いない。ということは、やはりキューバ・レストランに変更してしまったのだ。残念。ホテルの人もひとこと言ってくれればよかったのに……というより、やはり自分で予約の電話をかければよかった。キューバ音楽の生演奏なんて、うるさいだけで大嫌いだし、店の雰囲気もなんだか変わってしまった。はっきり言ってキューバ風なんて、センスが悪い。たった3年前だったのに、あんな素敵な店を、こんな風に変えてしまうなんて、コンラン卿もそろそろヤバいんじゃないの?と思う。本当に、良きものから失われていくものだ。
 というわけで、すっかり機嫌を損ねてしまったので、そそくさと料理を済ませてホテルに戻り、ホテルのバーで飲み直したのであった。明日の昼こそ美味しい料理を食べて、口直しをすることにしよう。

  • Floridita London(英語のみ。私は全然オススメしませんが、一応掲載します)