ながら歩き

Officium
 私は音楽を聴きながら道を歩くことをしない人だった。危ないので。今では常にiPodを携帯しているが、これを聴くのは専ら電車やバスに乗っているときに限られていた。これはiPod以前の、ポータブルCDプレイヤーやMDプレイヤーを持ち歩いていたときから同じであった。
 ところが、今日の夕方、辺りが夕闇に沈みゆくころ、駅から家まで歩く道のりで、何気なくヤン・ガルバレクJan Garbarekとヒリアード・アンサンブルThe Hilliard Ensembleの"Officium"を聴きながら歩いてみたところ、これが実に良い。非常に「静謐」な音楽であるため、聴きながらでも外界の音が聞こえて危険を察知できるし、駅から家までの道のりは車があまり通らないのでうるさくなく、小さい音や些細なフレーズまでもじっくり聴けるのだ。電車内のときのように本を読みながら聴いていないので、曲を聴くことに集中できるし。
Thursday Afternoon (Dig)
 これは嬉しい発見だった。しかも、闇の中にすべてが溶け込んでゆく「かはたれどき」に、"Officium"の音楽が絶妙にマッチすることといったら! 素晴らしいのひと言である。高々15分以内程度の道のりなので数曲しか聴けなかったが、大変満足した。
 これからも、こういう「静謐」系の音楽であれば、歩きながら聴いてみようと思うのであった。ためしに、次の機会はブライアン・イーノBrian Enoの"Thursday Afternoon"を聴いてみようかな。