ゆめの底から

ゆめの底
 先日購入した(2006年3月5日の日記参照)、岩岡ヒサエさんの「ゆめの底」に、かなりハマっている。
 最初に読んだときは、現実とあの世の狭間の世界がコンビニだったり、人物の気持ちの表し方がちょっと斜にかまえていたり、その割には駅前フォークソングみたいなてらいのないストレートさが出てきたりと、いかにもいまどきの若い人(こういう言葉は、自分が年取ったような気になってしまうので使いたくないが……)の作品だなあ、と思ってしまうこともあった。
 が、何度も読み返しているうちに、なんか岩岡さんが表現しようとしていることの"深さ"や切なさが、だんだんとじんわり滲みてくるようになって、けっこう感動したりするようになってきた。
 いつの時代でも、表現の多少の違いはあれど、人と人との心のつながりや優しさが、人を強くしてくれる。そんな想いがほんわりと作品の中から伝わってきて、読んだこちらまでも優しい気持ちになる、そんな作品だった。オススメです。
 あと、ほんわりしてちょっと毒を秘めているキャラクターや絵が、なんといっても私のツボだった。岩岡さんのほかの本も読んでみることにしよう。