CD温故知新〜大河ドラマの音楽

studio_unicorn20060522

 土曜日に私の実家に行ったとき、私の父親が大量の蔵書を少し整理しようとしているのを知った。気になって処分予定の本を見てみると、案の定私の本がけっこうある。おいおいおい! 勝手に捨てないでくれよ!と救助。危うく、私が宝に思っていた本の数々、例えば小栗虫太郎黒死館殺人事件」(桃源社版)や、小川洋子「密やかな結晶」の初版ハードカヴァーや、堀田善衞の名作「路上の人」の初版ハードカヴァーなどを捨てられてしまうところだった。やれやれ。
 本のついでに、なぜか私の「NHK大河ドラマ主題曲集」も捨てられそうになっていたので、慌ててこれも救助。自宅に持ち帰って、今日iPodに取り込みがてら聴いてみた。
 2005年5月8日の日記に書いたように、ものによって好き嫌いはあるけれど、大河ドラマは好きだ。私が小さい頃からずっと(今でも)、私の実家の日曜日夜8時は、大河ドラマを観るのが揺るぎない習慣だった。時代劇ではなく歴史ものが好きだったし。なので壮大なテーマ曲の数々も好きなものが多い。
NHK大河ドラマ主題曲集「八代将軍吉宗」 NHK大河ドラマ主題曲集 「秀吉」
 ここで画像リンクしたのは1996年放映の「秀吉」まで入っているアルバムだが、私が持っているのはその前年の「八代将軍 吉宗」(1995年放映、一年間放映が復活した年でした)までが収録されているアルバム。さすがに初期のはリアルタイムで観てもいないので曲を聴いてもピンと来ないが、知っているのだけでもひとつひとつ書き出すとキリがない。ので、特にお気に入りのだけいくつか。
 池辺晋一郎の「黄金の日日」「峠の群像」「独眼竜政宗」「八代将軍 吉宗」は本当に素晴らしいし、山本直純の「武田信玄」の親しみやすいメロディも捨てがたいし、一柳慧翔ぶが如く」のいかにも現代音楽らしい感じも好きだった。宇崎竜童の「獅子の時代」もギターサウンドが斬新ですごくカッコよかった。
 でも一番好きなのを挙げるなら、冨田勲の「勝海舟」と「徳川家康」、それと三枝成彰の「太平記」と「花の乱」を私は挙げる。
 「勝海舟」が放映された時は、私は小学校に入るか入らないかくらいで、当然ドラマについてはかけらも覚えていないのだけれど、なぜかテーマ曲だけはけっこう強烈に覚えていた。それほど子供心にすんごくすんごく好きだったのだろう。今聴いてもめちゃめちゃカッコいい! カッコよくて何度も繰り返し聴いてしまう。古い録音なので音が良くないのが残念だ。新録で聴いてみたい。
 「徳川家康」の時は私も高校生、さすがにドラマもけっこう覚えている。ドラマ自体も素晴らしかったが、このテーマ曲がまた悠々とした壮大さを醸し出していて、実に好きなのですよ。オーケストラとコーラス(歌詞無しなのがまたいい)、パーカッションとシンセサイザーが絡み合い、徐々に盛り上がってゆく。壮大な、悠久の時の流れを感じさせる素晴らしい曲だった。さすが冨田勲、素晴らしい仕事しています。
 「太平記」は私の就職直前。初めての鎌倉末期〜室町初期ものということで、大いに期待して観たのを覚えている。三枝成彰のテーマ曲がこれまた、"業"が絡み合う動乱の時代をうまく表現していて、すごくカッコいい。曲の中で篳篥(ひちりき)が使われているのも素晴らしい。
 「花の乱」は、ドラマ自体は実に惜しかった。市川団十郎(当時)や佐野史郎野村萬斎(このドラマ出演あたりから急激に有名になった)などの素晴らしい共演陣や凝った舞台美術・衣装などに恵まれながら、それら全てを三田佳子のイモ演技がブチ壊しにしたという、まさに"悲運"の番組だった。あのへっぽこ主役さえいなければな〜。本当に惜しい。(そもそも日野富子を主人公に据えること自体に無理があったのは間違いないが)せめてこの、ピアノの旋律が物悲しくも美しいテーマ曲を聴いて、残念な気持ちを慰めることにしよう(笑)。
 今年は「功名が辻」だったっけ? 最初の一回しか観ていません(笑)。テーマ曲もイマイチだった。
(写真は、昨日訪れた上野・不忍池。対岸に見える個性的な建物は、ソフィテル東京)