シェリー酒事始め

studio_unicorn20070426

 妻が、カルディでシェリー酒を買ってきた。
 Bodegas Hidalgoという、スペインのシェリー酒を主に作るワイナリーの"La Gitana"というシェリー酒のハーフボトル。「どれがいいのか分からなかったから、安売りしていたこれをとりあえずハーフで買ってきた」とのこと。Manzanillaという種類のシェリーのようだ。
 実は、妻が購入した目的はお菓子作り。トライフルtrifleを作るのに使おうと思って買ったそうだ。トライフルは妻の得意な英国のお菓子で、要するにカステラやスポンジケーキをワインなどに浸したものをベースに、果物やカスタードクリームやブルーベリージャムを加えて作る。もともと英国の家庭での、余ったケーキ生地などを無駄にしないための「知恵」の産物みたいなもの*1なので、その場その場であるものを寄せ集めて作るものらしく、特に決まったレシピがあるわけではない。
 それでも、いろいろなお菓子のレシピ本を見ると、トライフルのレシピには決まってシェリー酒を使うと書いてある。妻はこれまで白ワインを使っていたのだが、それなら一度シェリー酒を使ってみようと思ったのだそうだ。
 ほとんどがスペインで作られるシェリー酒(スペイン語ではヘレスJerezと呼ばれる)は、なぜか英国でよく飲まれるのは周知のとおり。私も、かつて英国留学中には、何かというとレセプションの類にはシェリー酒が出てくるので、てっきりシェリー酒は英国産のお酒だと勘違いしてしまったくらいだ*2
Elle a table (エル・ア・ターブル) 2006年 09月号 [雑誌]
 さて、今日買ったLa Gitana。留学中や英国に旅行したときはよく飲んだし、新婚旅行で行ったスペインでは"Pedro Ximenez"(ペドロヒメネス)という種類の甘口シェリーを買って帰ったこともある。だけれども、日常でシェリー酒を買ったのは、これが初めてだった。
 さっそく夕食後に飲んでみる。
 おや? ずいぶんとすっきりした辛口だな。これは、食後にじっくりというより、食前や前菜に向いた酒らしい。「エル・アターブル」の2006年9月号にシェリー酒の特集があったので見てみると、このManzanillaという種類は、非常にさっぱりとした飲み口のドライシェリーだそうだ。
 私としては、こういう軽い感じの辛口よりも、もっとコクがあるほうが好きなのだが、まあ、これはこれでたまにはいいか。ハーフボトルだし、食前や前菜のときにちょっと一杯、という飲み方をすればいいだろう。
 それより心配なのは、お菓子作りに使えるかどうか。レシピなどには「ミディアムか甘口」と指定してあるものもあったらしい。このドライシェリーは使えるのかな。「とりあえず一度使ってみる」と妻は言っていたが。
 それでも、一度興味が湧くと、ちょっとミディアムシェリーも試したくなる。お菓子でも飲むほうでも。もともとコクのあるほうが好きな私だし、一昨年英国コッツウォルズのLords of the Manor(2005年7月11日の日記参照)で食前に飲んだシェリー酒は、素晴らしく美味しかった記憶がある。あれはきっとミディアムシェリーだったに違いない。先の「エル・アターブル」の記事によると、ミディアムシェリーには、アモンティリャードAmontilladoとオロロソOlorosoという2つの種類があるらしい。
 というわけで、近いうちにワイン屋さんに行って、シェリー酒をいろいろ試してこようと思っている。楽しみだ。

*1:"trifle"には「つまらない、些細なもの」という意味がある。

*2:なんで英国人がシェリー酒をよく飲むようになったのか。この辺の経緯も調べてみると面白そうだ。