中世の静謐と現代のミニマリズム

studio_unicorn20070629

Music for Compline
 今日のような、死にそうに蒸し暑い日には、シャワーを浴びた後で、先週の土曜日に購入したCDのうちの一枚"Music for Compline"の歌声にじっくりと耳を傾けると、ほ〜っと汗が引き、心も落ち着いてくる。
 概してインスト志向で歌ものは敬遠することも多い私だが、グレゴリオ聖歌をはじめとする中世〜ルネサンスの合唱曲は別。ものすごく大好きだ。この「終祷のための音楽」Music for Complineも、一日の最後に営まれる礼拝「終祷」のために作られた16世紀英国の作曲家たちによる曲を、スティレ・アンティコStile Anticoという、英国の若手たちの声楽グループが歌い上げている。その密やかで素朴な歌声に、ただぼんやりと耳を済ませているだけでも、なにやら心の中の絡まったものがほぐれてくるような、そんな心持ちになってくる。じっくり聴きたい名盤だ。

ミニマル・ピアノ・コレクション(9枚組)
 もうひとつ、同じ日に購入した「ミニマル・ピアノ・コレクション」"Minimal Piano Collection"。なんとCD9枚組のボックスセットで4,000円弱という安さ。ピアノを演奏するのは、ジェローム・ファン・フェーンJeroen van Veenという、オランダ人のピアニスト。以前に買ったシメオン・テン・ホルトSimeon ten Holtの11枚組"Coplete Multiple Piano Works"でも連弾している4人のうちの一人で、どうやらミニマリズムに造詣が深いらしい。自分でも曲作っているし。
 CD9枚組という膨大なコンテンツには、ど真ん中ミニマリストの曲から、"周辺"の作家の曲まで、実にさまざまな作曲家の作品が収録されている。フィリップ・グラスPhilip Grass、ジョン・アダムズJohn Adams、テリー・ライリーTerry Riley、ウィム・メルテンWim Mertens、アルヴォ・ペルトArvo Pärt、シメオン・テン・ホルトSimeon ten Holt、マイケル・ナイマンMichael Nyman、もちろん自身の作品も。その中でも力が入っているのが、自作よりも多いCD3枚分に収録したフィリップ・グラス作品。また、ヤン・ティルセンYann Tiersenが映画「アメリ」のために作った曲なんかも収録されていて面白い。さらに、ミニマリズムといえば当然入っているべきスティーヴ・ライヒSteve Reichの作品は入っていない。どうやら、ライヒ作品はピアノアレンジ盤がたくさん出ているからという理由で、あえて外したらしい。
 それにしても、9枚通して聴くと10時間以上かかる。時間のあるときに一枚ずつ聴いているところです。

(写真は、本日の夕食・鰹のタタキ。夏ですねえ)