磯辺行久という人

studio_unicorn20070923

 昨日とはうって変わって涼しい日。曇り空でも、この涼しさのおかげで、なんだか心地よく思えてしまう。
 タダ券があったので、東京都現代美術館で開催中の「磯辺行久 SUMMER HAPPENING」展を観に、妻とはるばる木場へ行く。
 現代美術館に着いてみると、ものすごい人、人、人。こんなに人で溢れた現代美術館は見たことがない(笑)。建物の外まで行列ができていてびっくり。どうしたことなのか?と驚いたが、ほとんどすべての人が、この美術館で同時開催中の「男鹿和雄展」を目当てに来ているらしい。さすが、恐るべしジブリの力。これを観に来たんじゃなくて本当に良かった(笑)。
 「磯辺行久 SUMMER HAPPENING」展の会場に入ってみると、うって変わってガラガラ(笑)。じっくりと展示作品を堪能できた。
 磯辺行久という人は、寡聞にして全く知らなかったのだが、50−60年代は抽象画やジャパニーズ・ポップアートの作家として精力的に活動していたが、その後渡米してから環境計画に没頭し、70−90年代は環境計画家として活動し、2000年以降再び環境を題材にインスタレーションなどの作品制作を始めたという、ちょっと面白い経歴を持つ人らしい。
 確かに、環境計画時代を象徴するものとして、巨大なエア・ドームが会場に設置されており、自由に中に入ることができたりするのは面白いし、最近の越後妻有トリエンナーレでの活動の軌跡も紹介されているのも興味深い。でもやっぱり一番面白かったのは初期の作品、それも「和」のポップで日常的なイメージを駆使して作り上げた作品だったな。特に居酒屋の下駄箱のように木の扉がたくさんついた巨大作品は、扉を開くとそれぞれに小さなイメージが隠されていてすごく面白かった。あまり期待していなかった(予備知識ゼロだから仕方ない)のだが、とても楽しめた展覧会だった。
 そして、もうひとつの楽しみ「常設展示=MOTコレクション」。前回観たときにすごく充実していて面白かったので、むしろこちらのほうが楽しみだったかも。何気にこの美術館で一番面白いのは常設展示じゃないだろうか、と思いさえもする。
 昨年新たにコレクションに加わった作品を中心に展示されているそうだが、会田誠さんや奈良美智さんなどなど、多彩な作品が観られて楽しい。高木正勝さんのヴィデオ作品も上映されていた。さらに嬉しいことに、特別展示中の岡本太郎さんの大作「明日の神話」と、布を使って精密に建物を再現する立体作品で有名な韓国のスゥ・ドーホー氏のこちらも大作"Reflection"、この2つの作品が、自由な撮影を許可されていたこと(当たり前だが、フラッシュは使用不可)。せっかくなので私も撮らせていただいた。著作権とかアレなので、ここには掲載しないけれど。それでも、たまにはそんな粋な計らいがあるものなのだな。ちょっと感心。

(写真は木場公園にて)