素晴らしきノルウェー

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ノルウェーのデザイン―美しい風土と優れた家具・インテリア・グラフィックデザイン
 ただ今読書中の本は、先日手に入れた「ノルウェーのデザイン」という本。著者の島崎信(しまざきまこと)さんは、寡聞にしてその名前を知らなかったのだが、日本デザイン界の重鎮のひとりらしい。特に北欧のデザインに造詣が深い方のようだ。
 この本は発売前からけっこう期待していたのだが、なんといっても最大の特徴は、はじめから終わりまでこの本で扱っているのが、グラフィックや雑貨やインテリア・建築デザインまですべてノルウェー人のものだけということだ。とかく北欧雑貨やデザインの本を見て失望させられるのは、扱っているのがスウェーデンフィンランドデンマークばかりでノルウェーは全然無視か、あってもほんの少しだったりすることだ。ノルウェーが大好きでこれまでに3回行ったことがある私としては、ノルウェーにだって素晴らしい大自然はもちろん、北欧の他の国に負けない素敵なデザインや雑貨だってたくさんあるのに〜、と大声で主張したくてしょうがなかったのだ。
 ところがこの本は全部ノルウェーだけ。素晴らしい。正直言って本文そのものは、まるで初めて海外視察旅行に行ったオジさんの報告書を読んでいるような気分にさせられることもあるけれど、それでもノルウェーのデザインの「今」を十分に知ることができるので貴重だ。ノルウェー北海油田のおかげで他の北欧諸国より裕福になり(というより国民生活水準の高さは世界最高レベルだとか)、それが却ってノルウェーのデザインの発展を立ち遅らせたというのは初耳だった。
 デザインの背景にある、ノルウェーの歴史的・生活的・文化的背景や風土などにも言及しており、デザインを通しての格好のノルウェー入門書にもなっている。というか、読んでいるうちにまたノルウェーに行きたくてたまらなくなってしまったんですけれども(笑)。
(写真は、ノルウェーの有名な中世の木造教会のひとつ、Borgund Stavechurch。2003年7月9日撮影)