氷の国の旋律

スクリーミングマスターピース オリジナルサウンドトラック(仮)
 夕食後は、先週の土曜日に続いて、またも妻と自転車に乗って下高井戸シネマのレイトショーへ。今週のレイトショーは待望の映画「スクリーミング・マスターピース」"Screaming Masterpiece"。北極海の孤島アイスランドの音楽シーンを追ったミュージック・ドキュメンタリー。今月の大本命です。
 私が好きなミュージシャンにアイスランド人が多いので、こんな映画を観る機会は滅多にないと前々からものすごく期待していた映画なのだが、ロードショー公開のときは見逃してしまい、非常に残念な思いをしたものだった。今回の下高井戸シネマはめでたく観られたので、めでたしめでたし。
 アイスランド出身で世界的に成功しているミュージシャンといえば、もちろんビョークBjorkBjörk)とシガー・ロスSigur Ros(Sigur Rós)の2大アーティスト。彼らのライブの様子やビョークはインタビューも収録されていて、それだけでも見応えのある映画だが、それ以外にも氷の国で熱く息づくミュージシャンたちの映像が次々と出てくる。ラップをやっている人たちなんかもいるのか、とちょっとびっくり(私はラップは好きになれないが)。そして、随所に挟まれているアイスランドの氷に覆われた、しかし雄大な大地の映像。
 最後にビョークが語っているとおり、アイスランド的なものに意味はないのだけれど、それでもあの極北の土地柄や中世以来の価値観(例えばキリスト教以前の異教とか)が今なお生きている民族性などは、やはり彼らの活動の根底に根付いているものだと思う。それは映画の製作者も感じていることのようで、例えば、冒頭の、古代詩リームルの伝統的な詠唱がそのままシガー・ロスのライブシーンに移ってゆくところ(このシーンめちゃめちゃカッコよくて大興奮!)に表れているように感じる。
 それにしてもシガー・ロスのライブがカッコイイ! ビョークのライブも熱気が伝わってくる迫力だった。ヨハン・ヨハンソンJohann Johannsson(Jóhann Jóhannsson)やムームMumMúm)、アミーナAmiinaにムーギソンMugison他、気になるアーティストが目白押し。これはサントラ買うかなあ(けっこう手持ちのCDとかぶっているけれども……)。大充実の映画でした。