夏の夜の蝙蝠

 ここ数日は、湿度が低めなせいか、夜になるとすーっと涼しくなって過ごしやすくなる。気持ちの良い風も吹いて、まったくエアコンの世話にならずに快適な夜を過ごせて何よりだ。
 夜中に一服するため屋上に上がると、何やら小さな生き物が2匹ほど、パタパタと中空を飛び回っている。
 鳥にしてはひらひらと蝶のような跳び方をしているし、第一夜に活動する鳥はそれほど多くない(ましてや東京のど真ん中には)。
 蝙蝠(こうもり)だ。
 2匹でぐるぐるとせわしなく飛び回っている。23区の外れのほうとはいえ、今の東京で蝙蝠を見ることができるとは思わなかったので、ちょっとびっくり。しばらくパタパタと飛び回るのをじっと見ていた。
 小さい頃は、蝙蝠は猫やムササビ、モモンガと並んで私の大好きな動物のひとつだった。なんとなく懐かしい想いをこめて、蝙蝠が夜空に飛び回るのを見つめていた。