新しい太陽の書

studio_unicorn20081007

拷問者の影(新装版 新しい太陽の書1) (ハヤカワ文庫SF)
 ジーン・ウルフ氏Gene Wolfeの伝説の奇書「新しい太陽の書」四部作の第1巻「拷問者の影」"The Shadow of the Torturer"を、本日読了。
 「DEATH NOTE」の小畑健氏のカバーイラストで、ハヤカワ文庫から新装版で出ていたのを書店で見つけ、これが噂に名高いSFファンタジィの名作か〜と、この機会に購入して読み始めたのだった。
 読んでみて、形而上的思考や抽象的な叙述が延々と続く、その文章にびっくり。ほとんど哲学的とさえ言えるかもしれない、主人公セヴェリアンの一人称による独白が非常に多いのだ。物語の展開も、予想していたのとは全然違い、非常にゆったりとした(ある意味「まったり」している、とも言うか)もので、へええ、こういう物語だったのかと感嘆(?)してしまった。
 まさに、この難解?な文章こそが、この物語の大きな魅力のひとつなのだろう。そして、幾重にも解釈できる、幻想的で華麗な異世界の様相。これが実に20年以上も前に書かれた物語というのが、また非常な驚きだ。果たしてこの、幻想世界と形而上世界の境界線上のような物語が、どこへ行き着くのか。さっそく第2巻も読んでみるとしよう。
(写真は、英国コッツウォルズのLacock Abbeyにて。9月9日撮影)