幽談

studio_unicorn20090122

幽談 (幽BOOKS)
 京極夏彦氏の短編集「幽談」を、本日読了。
 京極氏の小説は大好きなのだが、今までに私が読んだのは長編が主体で、短編集を読むのは連作ものを除けばこれが初めてであった。
 怪談専門誌「幽」に掲載したものを中心に8編の短編が収録されているが、どれも合理的なオチが用意されているわけでなく、ある"雰囲気"や"論理"を描いた話が多い印象。
 「幽」という字は「かすか」とか読むのではなかったか。「怪談」でなく「幽談」と題している意味はその辺にあるか。いわゆる「ホラー」とは大きくかけ離れ、さまざまな境遇や背景を抱えた人が、それぞれに"この世ならぬもの"に対峙する物語が綴られる。私としては、なんとも嫋々たる寂寥感が漂う冒頭の「手首を拾う」と「ともだち」の2編が特に印象に残った。
 有山達也氏による、"和"を意識したミニマルなデザインの装丁が、内容とマッチしていて素晴らしい。

(写真は雑司ヶ谷にて。1月18日撮影)