14年目の完結

studio_unicorn20090304

新校本 宮澤賢治全集〈別巻〉索引 (単行本)
 本日発売の、筑摩書房「新校本 宮澤賢治全集 別巻」を書店にて購入。これで全巻完結である。
 どこかで「14年かかって完結」みたいな表現をしている記事を見かけたが、それではまるで14年間に少しずつこつこつと刊行していってようやく完結したような印象を与えてしまうではないか。
 実際にはそうではなくて、全16巻+別巻1の19冊のうち、16巻上・下(資料・年譜など)と別巻(補遺・索引)を除く主要な16冊(つまり宮澤賢治の手になる文章などを収めた巻)は、1995〜1997年の2年少々のうちに刊行されていたのだ。その後数年たって16巻上・下がぽつぽつと刊行され、さらに8年のちの2009年(つまり今日)にようやく別巻が出ただけ、だったりする。ということは、簡単に言えばこの別巻だけ大幅に出るのが遅れた、ってことですな。やれやれ。
 宮澤賢治宮沢賢治)の童話が好きな私は、刊行開始当時ついつい(主に、装丁に惹かれて)第一回配本の第8巻を買ってしまって以来、結局全巻を購入してしまった。この別巻なんて、ほとんど索引なので別に面白くもなんともない(索引自体の凄まじいまでの網羅度はすごいと思うが)。そのくせ、他の巻に比べえらく高い。まあでも、ほら、全集は全巻そろえないと意味がないし。「全」部「集」めるワケだし。
 実は、全集好きな私である。高額な商品が多いので、おいそれとは買えないが、装丁が素晴らしいものが多くて、装丁好き・デザイン好きの私としては強く惹かれてしまうものが多い。この「新校本 宮澤賢治全集」も、本文編と校異編を2分冊にしたアイディアといい、化石の写真をあしらった(非常に考古学的な要素を持った賢治研究に相応しい選択だ)デザインといい、本そのものがとても美しく、手にしているだけで幸せな気持ちになる。非常に素晴らしい装丁だ。
 宮澤賢治研究の、まるで考古学のような驚異的な徹底ぶりについては、またいつか書くとしよう。

(写真は2月14日撮影)