かつて大好きだった

studio_unicorn20090518

グイン・サーガ 1 豹頭黒衣の女王 グイン・サーガ126 (ハヤカワ文庫JA)
 かつて私が大好きだった、異世界を舞台にした大河小説があった。
 初めて読んだのは14歳のとき。「全100巻」のふれこみで始まった物語は、既に5巻まで刊行されていた。ヒロイックファンタジィの手法を大きく取り入れた物語と世界観、その後の巨大な物語の流れを想像させる、壮大な世界観。魅力的なキャラクターに数々の謎。こういう物語を読んだことがなかった私は、最初の1巻から引き込まれ、既刊はすぐに読み干し、ファンサークルに加入し、さらに広がってゆく物語にワクワクしながら新刊の発売を待ち、どっぷりと物語世界に浸かって夢中になって読んだものだった。
 それから十数年が過ぎ、50巻を超えたころには半ば"習慣"と化していたが、物語は楽しく読み続けていた。ところが、さらに数年たって、70巻を超えたあたりから物語の"劣化"(私にとっては、です)が目立ち始め、「これは何かが違う……」と思うようになってきて、読むのがだんだん苦痛になってしまった。それでもなんとか100巻までは読もうと頑張って101巻までは購入したが(100巻では完結しなかった)、実際には95巻あたりで挫折してしまい、今では、新刊が書店に並ぶとパラパラっとめくるくらいである(現時点で正伝126巻まで刊行されている)。
 それほどまでに、かつてはものすごく思い入れの強かった物語だったのだ。
 その大河小説がテレビアニメ化され、この春からNHK BS2にて放映されているという。かつて作者自身が「アニメ化の話は断固断る」と言っていたのになあ。まあ、時の流れは人を変えるものよ。壮大な制作費をつぎ込んだ実写映画ならともかく、正直アニメでは全然観る気がしない。というより、我が家はBS映らないし(笑)。それでも、アニメ化を契機に原作の新装版が発売されたり(今年は物語の刊行が始まって30周年らしい)、コミックス版も出てきたりとなかなか賑やからしい。
<ANIMEX 1200シリーズ>(127)GUIN SAGA(グイン・サーガ)-辺境編-グイン・サーガ オリジナル サウンドトラック
 ということで別にさしたる興味はないのだが、ひとつだけすごく気になることがある。それは、このアニメの音楽を、かの植松伸夫さんが担当しているのだ。「ファイナルファンタジー」シリーズがあまりにも有名な植松さんの音楽は私も大好きで、ゲームをしないのにサントラ盤だけ持っているFFもあったりする(笑)。
 だが、かつて原作のイメージアルバムが、作曲家でミュージシャンの淡海悟郎さんによって何枚も発表され(ミュージカルもの以外全部持ってます)、非常に原作のイメージを尊重し、かつ本当に素晴らしい楽曲ばかりだったので、どうにもこのシリーズの音楽には淡海悟郎さんの音楽でないとしっくり来ないように思ってしまう。それでも、さすがに植松さんのこと、非常に壮大な音楽に仕上がっているのではないかという予感もあり、サントラだけ購入してしまおうかなと思案しているところである。音楽だけなら、変にアニメのイメージに左右されずに音楽だけに浸れるし、自分だけの想像力を膨らませることもできるからなあ。う〜ん、悩ましい。
(写真は、京都・法然院にて。5月1日撮影)