ハリーとトント

studio_unicorn20090615

ハリーとトント [DVD]
 夕食後、妻と一緒に、先日購入した映画「ハリーとトント」"Harry and Tonto"のDVDを観る。
 1974年の映画。主演したアート・カーニー氏Art Carneyは見事アカデミー賞の主演男優賞を受賞。人生の終盤に差し掛かった人間の、とてもヒューマンな味わいのあるロード・ムーヴィーの傑作で、いわゆる「アメリカン・ニューシネマ」の名作のひとつである。
 と書くと、間違いなくヨーロッパ志向かつファンタジーとかSFとか幻想ものが好きな私の嗜好からは相当外れた映画なので、私を個人的に知る人からは奇異に思われるかもしれない。私自身も実際そう思うのだが、この映画は小さい頃に一度テレビで観ただけなのに、ものすごく好きな映画だったのだ。というのも、アート・カーニー演じる老人ハリーの飼い猫というか"相棒"トントが、小さい頃から大のネコ好きだった私のツボを刺激しまくったからなんだけれどね。要するに、ネコ映画としても素晴らしいのです(笑)。
 それでも、今回の初DVD化で何十年ぶりかに観て、かなり小さい頃に観た記憶が正しかったのを確認したので、やはりそれだけ印象が強かった(子ども心にも)映画だったのだろう。さらに、こちらが大人になっているので、「老い」の切なさや人々のふれあいの暖かさが、よりいっそう胸に沁みる。そして、全篇に満ちる、ちょっとお伽噺めいた雰囲気が楽しい。そしてやっぱり、トントはとてもとてもかわいかったニャー。名作です。
(写真は代官山にて、夕暮れ時の一杯。6月12日撮影)