英国3日目・Lords of the Manor

 Upper Slaughterで宿泊したホテルは、かのローズ・オブ・ザ・マナーLords of the Manor。数あるマナー・ハウス(昔の領主の家などを改装してホテルにしたもの)の中でも伝統と格式を持つホテルとして、特に日本人には有名である。
 実はホテルを決めるときに、せっかくだから(両親もいるし)マナー・ハウスに泊まりたいと思い、かつて編集者をやっていた特権で、英国のマナー・ハウスの本を作った編集者の方に相談をしたところ、やっぱりハズレがないのがLords of the Manorだとアドヴァイスを受けていたのだ。
 実際にチェックインしてみると、クラシカルで甘すぎない程度に可愛らしい内装の客室はとても素敵で、バスルームがとても広いのが嬉しい。洗面台も2つ設えられている。客室にさりげなくミネラルウォーターとシェリー酒が用意されているのも心憎い。
 さらに、ここの裏庭も素敵に整えられ、数々の花が咲き乱れるイングリッシュ・ガーデンになっていて、とても良いのだが、なんといっても素晴らしいのは、ホテルの前に広々と広がっている芝生の前庭。テーブルと椅子が点々と配置され、ここで寛ぎながらアフタヌーンティーを楽しめるのだ。この芝生でお茶を飲みながら、風の音、木々の囁きに耳を傾け、時の移ろいを感じながらリラックスしているのは、なんとも心地よい。この前庭でくつろぎの時間を持てることこそ、このマナー・ハウスに泊まる一番の贅沢なのかもしれない。
 ホテルのレストランでの夕食も素晴らしかった。マナー・ハウスの通例として、ラウンジで食前酒をすすりながらメニューを決め、食卓の用意が整ったとの案内を受けてレストランへ赴く。そしてくつろぎのディナー・タイムだ。やはり日本人が多く泊まるためか、食事の量は多すぎず、我々日本人の小さい胃袋でも食べきれる量になっているところに、ホテルの心遣いを感じる。どんなリクエストにも笑顔で聴いてくれるあたり、さすが一流のホテルは従業員の質が高いな、としみじみ思った。