英国式庭園は美しいが。

studio_unicorn20070417

英国式庭園殺人事件 [DVD]
 最近の我が家の定番、「ずーっと昔にVHSに録画してあった映画を観てから、VHSを処分しよう」シリーズ。今日は、ピーター・グリーナウェイ監督Peter Greenawayの「英国式庭園殺人事件」"The Draughtsman's Contract"を、妻と一緒に観る。
 先日この映画のDVDを(未見のまま)購入しようかと迷ったことがあった(2月28日の日記参照)が、私の実家に寄ったときに、テレビで放映したものを録画したまま観ていなかったVHSを発見した。VHSだから画質が悪いのは仕方ないが、とりあえずは観ることができる。けっこう期待しつつ、妻と一緒に観たのだったが……。
 早まってDVDを購入しなくて、本当によかった。
 この監督ならではの衒学趣味や寓意とか、絵画的な画面構成など、私が非常に好みそうな要素が満載なのだが、いかんせん肝心のストーリーがネガティブすぎるうえに、随所に傲慢さや悪意が感じられて、私には楽しめなかったというのが大きい。死や殺人の扱い方がどうにも好かない、というのもある。やっぱり私はグリーナウェイ監督とは相性が悪いようだ。かつて英国留学中に、同じ監督の「数におぼれて」"Drowning by Numbers"を観て、ちっとも面白くなかったし楽しめなかったことを思い出した。本当に、寓話とか象徴とか知識の秘匿・含蓄とか、私は大好きなはずなのだが、この監督の映画では、それが浅薄にうわすべっているだけにしか見えなかったりする。滅多に映画で退屈しない私が、こともあろうに、観ている途中で退屈を感じてしまった。残念。
 ただ、映画の舞台の大邸宅と英国風庭園の風景は実に素晴らしいし、シンメトリーなど構図にこだわったスタイリッシュな映像は美しかった。また、マイケル・ナイマンMichael Nymanのミニマルな音楽もとても素晴らしかった。その2つだけが救いだったかな。
 まあ、たまにはこういうこともあるさ。

(写真は、英国Upper SlaughterのホテルThe Lords of the Manorの前庭にて、2005年7月11日撮影。これぞ英国式庭園)