舞劇「覇王別姫」

studio_unicorn20050910

 偶然タダ券が手に入ったので、Bunkamuraオーチャードホールへ、中国・上海東方青春舞踊団の舞劇「覇王別姫」を妻と一緒に観に行った。基本的には舞台ものにはそれほど興味がない私なので、こういう機会はいい体験だと思って有効に使うことにしている。
 舞劇とは、セリフを一切使わずダンスと音楽で物語を表現する劇のこと、のようである。要するにダンス、というよりバレエが中心の劇だ。ダンスやバレエも、私はまったく疎いのだが、ここに出てきたバレエダンサーたちが、非常にいい演技をしていたことは私にもわかった。
 舞踊劇ということだが、抽象的なわけでは全然なくて、むしろ分かりやすくエンターテインメントとして単純に楽しく観ることができた。ストーリーも、有名な「覇王別姫」……項羽と劉邦の戦い、そして項羽の最愛の虞美人の悲恋の物語……なので、これまたストーリー理解に苦しむことは一切ない。音楽も、ちょっと昔の映画音楽のようにメロディ重視で非常にドラマチック。いい意味で分かりやすく、好感。肩の力を抜いて純粋に楽しめる娯楽として、とてもよい体験だったと思う。
 (追記:id:popon-xさまの記事によると、

項羽と劉邦の「垓下の戦い」は中国将棋の基盤になったそうで、ここの戦闘シーンはダンスではなく、二人が背中合わせに将棋を指すような格好での表現でした。かなり斬新。
2005年9月10日の記事より)

……とのこと。なるほど〜、そういういきさつで、あのような「軍を動かす」表現だったのか。勉強になりました。)
さらば、わが愛?覇王別姫 [DVD]
 それにしても、これほど優秀な(しかもみな若い)ダンサーたちが大勢輩出できるとは、中国はさすがに大きい国だなあとか、ちょっと興味が出てきたので司馬遼太郎の「項羽と劉邦」を読んでみようかなとか、いろいろ思いながら舞台を観ていた私であった。「覇王別姫」といえば、かなり昔に「さらば、わが愛覇王別姫」という映画を観た記憶があるのだが、あれは京劇の「覇王別姫」を題材にしていたような気がした。演劇にかける情熱が熱い、しかも中国近代史をたどる大河映画だったなあ、確か。この映画も公演期間中はレイトショーで特別上映しているらしい。

(写真は渋谷にて。いいお天気でした)