バルセロナに恋して

studio_unicorn20090705

Vicky Cristina Barcelona
 昨日に続き、今日も日中こそ曇ってはいたが夕方からまたしても晴れてきて爽やかになり、結果として悪くない気候の一日だったな。
 妻と渋谷に行き、Bunkamuraル・シネマにて映画「それでも恋するバルセロナ」"Vicky Cristina Barcelona"を観る。私も以前から気になっていて早々に前売り券を購入していたのだが(3月26日の日記参照)、ペネロペ・クルスPenélope Cruzがこの映画でアカデミー賞助演女優賞を受賞したことで話題になったこともあり、巷でもかなり前評判・期待度が高い様子だった。
 その期待度の高さの表れか、私が観た回はなんと満席! かつてのミニシアターブームの頃ならいざ知らず、最近のBunkamuraでかかる映画が満席になるなんて、正直言って初めての経験かも(笑)。期待したとおりに面白い、コミカルでシニカルな愛憎劇でした。
 確かにペネロペ・クルスのブチ切れ演技は凄まじく、アカデミー賞審査の方々が「これは賞の1つもあげておかないと後がコワイ」とか思っても不思議ではない(笑)が、一部で言われているように彼女が、登場後のストーリーを「さらっていった」とまでは思わなかったな。別にペネロペ・クルスだけが際立って演技達者だったわけではなく、スカヨハことスカーレット・ヨハンソンScarlett Johanssonもレベッカ・ホールRebecca Hallも、そして何よりハビエル・バルデムJavier Bardemも十二分に素晴らしい演技をしていた。彼らの演技力がきちんと発揮されているからこそ、ペネロペ・クルスの演技が上滑りしていないのだ。プログラムの解説でも書かれていたが、実際のところこの映画のポイントは、ハビエル・バルデムが起用されていることなんだと思う。
 いやいや、実はこの映画で一番注目すべきなのは「ナレーション」かもしれない。ウディ・アレン監督Woody Allenの作品では珍しい(らしい)ナレーションが、実に淡々と訳知り口調で語りすぎるくらいに語ってしまうことで、フツーに演出するとかなりドロドロで生々しい愛憎劇になってしまうのを、まるで「お伽噺」か「寓話」のように仕立て上げることに成功しているのだ。それによってアレン作品ならでは(らしい)の、人生へのアイロニーを醸し出しているように感じる。
 それにしても、全篇に溢れるバルセロナBarcelonaやオビエドObiedoの映像の美しいこと! 全篇に流れるスパニッシュギターの音色とともに、カラッと照りつけるスペインの陽光がこの映画を軽い雰囲気に仕立てているうえに、しっかり観光名所もふんだんに出てきて、先日観た「天使と悪魔」(6月7日の日記参照)に負けないくらいの観光ガイド映画でもあったりする。我々夫婦がバルセロナやスペインを最後に訪れたのは新婚旅行のときだからもう12年も前のこと、ずいぶん行ってないな〜。この映画を観ているうちにものすごくバルセロナそしてスペインに行きたくなってしまったぞ。といっても、来週から始まる今年の旅は、残念ながらスペインには行きませんが(笑)。来年か?

(写真は、映画のあとに入ったスペインバル"Bar de Cante"にていただいた、マッシュルームのベーコン包みガーリック焼き)