Music for Reading

the P.I.A.N.O.set 熊の敷石 (講談社文庫)
 日差しは強いものの湿度が低く、風も吹いてなんとも爽やかな、過ごしやすい一日。いよいよ夏も終焉に向かっているのか。
 昨日、一冊本を読み終わったので、朝仕事へ向かう電車の中で、堀江敏幸「熊の敷石」を読み始めた。が、うっかりiPodでかけた音楽がDAISHI DANCEの「the P.I.A.N.O.set」。朝の電車の中では、一日の景気づけに割と元気な曲を聴くことが多いので、ついこのアルバムを選んでしまった(笑)。最近ヘビロテだし。
 しかし、さすがに堀江さんの小説のしっとりした雰囲気にはちょっとそぐわないので、慌ててバッハの「無伴奏チェロ組曲」(ニコラウス・アーノンクールが演奏したもの)に切り替える。読書のBGM選曲は大切だな。というより、混雑して慌しい朝の通勤電車で堀江さんの小説を読もうとすること自体、無理があると言えばその通り(笑)。雰囲気だけで言えば、静かな窓辺で読むのが理想的だろうな。
雪沼とその周辺
 堀江敏幸さんの小説は、名作「雪沼とその周辺」(私のレビューあり)一冊しか読んだことがないのだが、この「熊の敷石」を初め他の小説も読んでみたいな〜と、機会を窺っていたのだった。文庫で買ってしまったけれど、本当はハードカヴァーを欲しかったんだよね。
 札幌で活躍するDJであるDAISHI DANCE氏の初アルバム「the P.I.A.N.O.set」。リスニングルーム志向の私は、普段この方がフロアでどのようなDJをやっているのかよく知らないのだが(ご本人のブログを見ると、たくさんの写真のおかげで多少その様子が伝わってくるが)、このCDは素晴らしい。残念ながら2曲目が捨て曲なのが玉に瑕(Earth WInd & Fireみたいな安っぽい高音ヴォーカルが生理的にダメ)だが、そのあとに続くインスト曲の数々がそれを補って余りありすぎるくらい素晴らしい。タイトルどおりのピアノやヴァイオリンが、クラブビートをバックに、なんとも情緒的でメランコリックな(ある意味とても日本人的な)メロディを奏でる。なんとも心地よい。