展覧会巡り

studio_unicorn20080330

寿限無 (声にだすことばえほん)マルガリータとかいぞく船 (すきっぷぶっくす)
 午後遅くに、妻と青山一丁目へ。雨が降りしきる花冷えの寒い中、今シーズンはもう着ないかと思っていた超ロング黒トレンチコートを2人で着込み、傘をさして青山通り界隈を歩く。寒いのはナンだが、雨の都会を歩くのは(荷物がなければ)けっこう嫌いじゃない。
 まずは、青山一丁目に程近いピガ画廊で開かれている、絵本作家でイラストレーターの工藤ノリコさんの個展「ブーフのともだち展」を観に行く。工藤さんの描くキャラクターたちの、ちょっと人を喰ったようなワルそうな、少し変化球のかわいらしさが大好きな我々夫婦は、この個展も大いに楽しんだ。
 世界のさまざまな切手とイラストと手紙文を組み合わせた"Letters"のシリーズが、とてもかわいい&アイディアに満ちていて面白い。また、大好きなギャグまんが「ワンワンちゃん」や絵本の素晴らしい原画も展示されているのも楽しい(「ワンワンちゃん」の新刊はまだなのかな)。工藤さんのイラストを使って、夫君が制作したという動画「Hoppingムービー」がまたステキだ。小人が飛び跳ねると思ったら、美しい水辺の風景画が広がる。楽しかった〜。
 このピガ画廊は、地域の再開発に伴い、4月末で閉廊になってしまうらしい。ちょっと残念な思いがする。

新宿 1965‐97―娼婦、ヤクザ、オカマ、ヌード嬢…彼らが「流しの写真屋」の客だった (フォト・ミュゼ)
 続いて、外苑前近くのワタリウム美術館へ。ここで開催中の「流しの写真屋 渡辺克巳写真展1965-2005」のタダ券があったので観ておこうと思ったのだ。
 残念ながら渡辺克巳氏の名前は全然知らなかったのだが、一昨年に亡くなるまで"流しの写真屋"と称して新宿、特に夜の新宿に生きる人々を写し続けた写真家だそうだ。そうした人々のモノクロ写真が、ワタリウムの狭い3フロアに渡って所狭しと展示されている。
 が、私個人としてはイマイチだったな〜。確かに大きなものを遺した写真家だなとは思うし、これだけの人々(ほとんどが、いわゆる"裏街道"の人だ)のナマの姿を写し出し続けたのはすごい。だが、どうもグッと伝わってくるものがないんですよね。嗜好の問題かな。展示の問題かな。よく来ている割には、ワタリウム美術館と私は相性がよくないらしいので(笑)。

Cape Light
 さらに雨の中を歩いて、表参道へ。「ジャイル」GYREの中にある「ギャラリー ホワイトルーム トウキョウ」"Gallery White Room Tokyo"で、ジョエル・マイロウィッツJoel Meyerowitzという写真家の、"The Elements: Air/Water Part1"と題された個展を観る。飛び込み競技のプール、水面、飛び込む選手の肢体、のカラープリントが大きく引き伸ばされて展示されている。作品数こそ少ないが、大判の画面に映し出されたブルーの色彩が目に心地よく、作品の前で佇んでいるだけで穏やかな心持ちになってくる。私はこういうタイプの写真のほうが好きだな〜。
 マイロウィッツ氏は受賞暦も多い大御所の写真家だそうだが、常に新しいものを模索する姿勢は好感が持てます。別フロアでは映像作品も展示されていた。

(写真は、雨の青山通り