英国2日目・ハンマースホイ展観た

studio_unicorn20080907

 ロンドンで一夜を過ごし、明けて日曜日。天気がイマイチなのは、まあ英国だし、この季節なら仕方ない。それにしても、天気のせいとはいえ、非常に涼しい。というより肌寒いくらいだ。日本なら10月下旬くらいか? ユニクロのフィールドジャケットを持ってきて正解。着ていないとちょっと寒すぎる。
 今日はまず、この旅の最初のハイライト、というか主目的の一つである、ロイヤル・アカデミー(王立芸術院)Royal Academy of Arts, Londonで開かれているヴィルヘルム・ハンマースホイの回顧展"Vilhelm Hammershøi: The Poetry of Silence"を観に行った。そもそも今年ロンドンに行こうと思ったきっかけが、この展覧会だったのだから(3月19日の日記参照)。今日が会期の最終日。なんとか間に合うようにロンドンに来られて本当に良かった。最終日であるせいか、それとも非常に注目されているのか(おそらく両方だろう)、会場は非常に多くの入場者で賑わっていた。老若男女さまざまな客層。微笑ましい親子連れも多し。ハンマースホイの注目度の高さを感じるとともに、ロンドン市民にとってアートが非常に身近なんだなと肌で感じるひとときでもあった。

 それにしても、一堂に会したハンマースホイ作品たち。本当に素晴らしい。特に、作家夫妻が暮らしたStrandgade30番地の室内画が、どれもこの上ない静謐を湛えて佇む様は、見事と言うよりほかない。写真のようなリアルな存在感、モノトーンに近い抑えた色調、そして多くはこちらに背を向けて佇む作家の妻イダ。この"静謐"は、単なる静かさではなくて、ハンマースホイと妻の幸福に満ちた生活を感じさせる、ほの暖かく穏やかな"静謐"なのだ。
 風景画も素晴らしい。初期の納屋を描いた作品も愛らしくて素敵だ。いやあこれほど素晴らしい作品展は、本当に久しぶり。これを観られて本当に良かった。ここで展示された作品は、ほとんど上野の国立西洋美術館でも展示されるだろうから、とても期待できるな。楽しみだ。
 ただ一つ、非常に残念だったのが、図録(カタログ)がすべて売り切れてしまっていたこと。うわ〜。ハードカヴァー版は再版の予定があるようだから、それに期待するか。ロイヤル・アカデミーもカタログの作成部数の見通しが甘いなあ。作品集などもほとんど出回っていない作家なんだから、みんな買うに決まっているじゃないですか。上野のほうは大丈夫か!?